シーホース三河
2025年12月7日(日)名古屋法務局および愛知県人権擁護委員連合会主催




いつもシーホース三河にご青援ありがとうございます。
2025年12月7日(日)、名古屋法務局および愛知県人権擁護委員連合会主催「第44回全国中学生人権作文コンテスト愛知県大会表彰式」が開催されました。
本コンテストにおいて、シーホース三河では『シーホース三河賞』を選出させていただいており、今年は愛知県内、中学校254校から応募のあった7,581編の中から、

〇西尾市立一色中学校2年 松井 凛生(まつい りんせい)さん
「理解して寄り添って」

を受賞とさせていただきました。
表彰式では、取締役社長・寺部康弘が賞状の授与を行いました。

理解して寄り添って  西尾市立一色中学校二年 松井 凛生

僕の弟、自称「さかな君」は現在小学校の特別支援学級に通う八才です。弟
は二才の時に自閉症と診断されました。自閉症の主な特性としては、こだわ
り、パニック、対人関係の困難などが挙げられます。弟もこの様な特性を持っ
ていますが特にこだわりが強く、海の生物への執着は誰にも負けません。この
こだわりが始まったのは弟が二才の時に名古屋港水族館で初めてシャチを見た
時だったように思います。入ってすぐの大水槽で優雅に泳ぐシャチに目を奪わ
れ何十分も見入るように水槽のガラスに張り付いていたその光景を僕は今でも
鮮明に覚えています。
 弟のこだわりは優れた面でもある反面、僕達家族に大きな悩みをもたらしま
す。例えばゲームコーナーなどにあるガチャガチャで弟が好きな海の生物が一
度で出なかった場合、先に「一回だけだからね。」と言われていても納得出来
ずに最終的に欲しい物が出るまでパニックを起こします。特に幼い頃はかん
しゃくがひどく周りの人に迷惑をかけてしまうため、父が泣きわめく弟を抱き
かかえ、店の外へ連れ出し落ち着かせていました。僕も周りの人に注目され嫌
な思いをしたり、弟が落ち着くまで身動きが取れないため不満に思った事も
多々ありました。また他の人が海の生物のついた物を持っていたり服を着てい
れば、知らない人でもお構いなしに物や服を触ってしまい、触られた人に嫌そ
うな顔をされたり、時には舌打ちをされた事もありました。そんな時は両親が
必死で謝っているのを見て僕は両親をいつも困らせる弟を理解出来ませんでし
た。弟は自分の好きな事となると自分を抑えられず周りが見えなくなってしま
う事に僕はいつも困惑していました。
 僕が小学校高学年になった頃、両親から自閉症の特性について詳しく話を聞
きました。弟は衝動性が強く、好きな物に対してすぐに見たい触りたいという
気持ちが湧いてくるため、自分でその気持ちを止める事が難しく本人も辛い気
持ちになっている事を初めて知りました。本人もどうする事も出来ずに辛い思
いをしている事を知り、僕は驚いたのと同時に弟の特性をもっとしっかり理解
して寄り添っていこうと考えるようになりました。
苦労が多い弟のこだわりですが、すごい所もあります。弟は大好きな海の生
物の図鑑を何冊も何回も読み、図鑑の内容を細かい所まで覚えてしまっていま
す。時には図鑑の間違った所を見つけてきて指摘します。海の生物など自分が
シーホース三河賞
好きな物の事となると目を輝かせ追求し、優れた記憶力を発揮します。こだわ
りという特性はすごい事でもあるのだと僕は感じています。
 自閉症の弟の特性を理解して生活していく上で僕が気をつけている事がいく
つかあります。まず一つ目は初めての経験を苦手とする弟には、あらかじめそ
の内容や順序を先に一つ一つ丁寧に説明する事です。そうしておく事で初めて
の事でも弟のパニックが起こりにくくなります。二つ目は弟がこだわりで迷惑
な事をしてしまった場合、何がいけなかったのか、どうしていけないのかを分
かりやすくゆっくりと弟の分かる言葉で丁寧に説明する事です。具体的な数字
を出したり、具体例を挙げて説明する事を意識しています。どんな事でも障害
者だから分からない、出来ないと思うのではなく、諦めず分かりやすく説明す
れば理解出来る事も多いと感じています。
 弟は人よりゆっくりですが少しずつ成長しています。社会のルールを覚えた
り、人の気持ちを少しずつ考えられるようになってきています。家族や周りの
人が弟が苦手な事が何かを理解して丁寧に一つ一つ説明してきたからだと思い
ます。他の人が当たり前に出来る事も弟が出来る様になるには時間がかかる
分、僕達家族は弟の小さな成長を分かち合い、家族の絆が強くなっているので
はないかと僕は思っています。
 自閉症は治らない障害だと言われています。だからこそ僕は寄り添っていき
たいと思います。自閉症のような障害は治そうとするのではなく理解しようと
する事が大切だと僕は思います。僕も弟の障害の特性を知る事で弟を少しずつ
理解する事が出来たので、まずはもっと皆に障害の特性を知ってほしいと思い
ます。特性を知った上でどうやって接していけば障害がある人が生活しやすく
なるのかを考えていく事が重要なのではないかと思います。様々な障害があり
ますがその特性を理解し、その人に合った寄り添い方を僕ら周りがしていける
といいと思います。弟の特性は周りからわがままと言われてしまったり、理解
されない事も多いですが、僕は弟の一番の理解者でありたいと思っています。
弟の特性を理解して苦手な事には一緒に寄り添い、弟には得意な事をどんどん
伸ばしていってほしいと思います。
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