高市政権で安全保障政策を担当する官邸筋の「核を持つべきだ」との発言は「オフレコ」取材の中で生じた。匿名が前提のオフレコ取材には、相手の本音を探り、国民の知る権利に応える狙いがある。政治家や官僚のオフレコ発言は過去にも物議を醸してきた。
政治取材は、記者会見など実名で報道する「オンレコ」が原則だ。ただ実名報道のみでは深層に迫ることは難しく、オフレコを条件に取材する機会は少なくない。匿名での引用も含めて記事化しない「完オフ」もある。
これまでもオフレコ取材は議論を呼んだ。1995年、当時の江藤隆美総務庁長官が記者会見した後に「これから先は書かないでほしい」と前置きし「植民地時代には日本が韓国に良いこともした」と発言。月刊誌や韓国紙が報じ、一部の報道機関が追随した。
これを受け、日本新聞協会は96年、オフレコ取材は「国民の知る権利に応えうる重要な手段」との見解を公表。新聞労連は97年に採択した「新聞人の良心宣言」で、発言者本人の真意を再度確認し、関係者の意見も聞いた上で断固報道すべきだ」と説いた。






