台風25号による土砂崩れに巻き込まれた横山淳子さんの自宅=22日、神奈川県横須賀市

 台風25号による土砂崩れで亡くなった神奈川県横須賀市の住人の家族は、自宅裏の崖地の崩壊を防ぐ工事を県や市に要望していたが、要件を満たさないとして実施されなかった。県の担当者は「税金を使う事業でルールに従わざるを得ず断腸の思いだった」と話すが、悲劇を防ぐ手だてはなかったのか。専門家は行政の対応には限界があり、住民側が意識を高めることも重要だと話す。

 死亡したのは同市の横山淳子さん(64)。2階建ての住宅は中央部分に土砂や木々が直撃したとみられ、壁面から屋根の一部まで崩壊し生々しい傷痕が残っていた。

 県や市によると、横山さん側は数年前から自宅裏の崖地で土石が崩れてくると複数回市に相談。2024年6月には県に崩壊を防ぐ工事をするよう要望した。

 急傾斜地法に基づく「急傾斜地崩壊危険区域」の指定を受けると、工事費用は全額行政負担で実施される。だが被害を受ける可能性のある住宅が5戸以上との要件を満たさず、工事は実現しないまま今回の被害に見舞われた。