元町職員の逮捕を受けて、町議会臨時会で謝罪する大橋孝町長と幹部職員ら=16日、養老郡養老町役場

 岐阜県養老郡養老町発注の解体工事を巡る官製談合事件は、元町建設課職員と建設業者の営業部長が逮捕されてから18日で1週間。捜査関係者によると、2人は容疑を認めており、県警は事件の全容解明を進めている。複数の建設業界関係者が今回の事件を「氷山の一角」と指摘し、入札の予定価格を全て非公表としていた町の取り決めが事件の背景にあるとする声も漏れる。町には再発防止に向けた取り組みが求められる。

 「真面目でこつこつと仕事をする人」。非公表の設計金額(予定価格)を業者側に漏らしたとして官製談合防止法違反などの疑いで逮捕された元町建設課職員の容疑者(49)について、多くの人が仕事ぶりを評価する。突然の逮捕に周囲の多くが首をひねる一方、「彼は“いい格好しい”。頼られると町職員としては踏み込み過ぎる場面もあった」との声も。

 元町建設課職員の容疑者は19年間にわたり建設課に所属。事件となった指名競争入札があった2020年4月、町は予定価格を事前に公表していなかったが、元町建設課職員の容疑者は知り得る立場にあった。そして公契約関係競売入札妨害容疑で逮捕された建設会社社員の容疑者(49)に漏えいした疑いが持たれている。

 西濃地域では予定価格を入札前に公表する自治体が多い。事件を受け、岐阜新聞社が養老町を除く10市町に聞き取ったところ、7市町で事前公表を採用していた。ある自治体職員は「業者と職員の問題ある接触による不祥事をなくせるのは大きなメリット」と話す。西濃地域の複数の建設業関係者は「昔は各地で談合があった」と明かしており、事前公表はそんな風土を改善する対策の側面もある。養老町も今年4月から、工事価格5千万円未満の入札について予定価格の事前公表を始めたばかりだった。

 昨年、水道工事の入札で職員が逮捕され贈収賄事件に発展した岐阜市では、事件後に対策を検討。積算の価格を記した書類を電子化して価格を知ることができる職員を限定するなど再発防止策に努める。養老町は今後、有識者による調査委員会を立ち上げ原因を究明しつつ、入札の仕組みや職員の研修などを検討し、再発防止策を整える方針。早急に有効な対策を示し、町民の信頼を回復できるかが問われている。