航空自衛隊岐阜基地に展示された航空機に見入る人々。「岐阜基地航空祭」の一幕で、アクロバット飛行も行われた=2019年11月10日、各務原市内

 ロシアによるウクライナ軍事侵攻の終結が見通せない中、7月10日投開票の参院選は防衛力の強化が争点となっている。与野党は防衛費を現在の国内総生産(GDP)比1%程度から欧州並みの2%に増額するかで議論が続く。通信アプリ「LINE(ライン)」で読者とつながる岐阜新聞の「あなた発!トクダネ取材班」(あなトク)は、「防衛費増額の是非」をテーマにメッセージを募った。登録者からは「国際情勢を見るとやむを得ない」「増額ありきの議論は危険」などの意見が寄せられ、賛否が分かれた。

◆GDP比2% 与野党の攻防、注視

 日本の防衛費は2022年度当初予算で過去最多の約5兆4千億円となった。10年連続で右肩上がりが続く。増額に積極的な姿勢を見せるのは、自民党と日本維新の会、NHK党。いずれも現状から倍増となる「GDP比2%」を参院選の公約に明記している。このほか立憲民主党は「総額ありきではなく、めりはりのある予算で防衛力の質的向上を図る」と反論しつつも、増額の余地は残した。公明党、国民民主党も防衛力強化は必要との立場を取る。

 防衛費増額に賛成するメッセージを寄せたのは、岐阜市の会社員男性(50)。「ウクライナのように日本もいつ侵略されるか分からない」と危機感を示し「私たちの家族や暮らしを侵略から守るには相応の防衛力が必要」と唱えた。揖斐郡大野町の主婦(46)は「誰だって戦争はしたくないが、抑止力として強化や備えは必要。サイバー攻撃を防ぐのに資金がかかるのは仕方がない」と論じた。

 航空自衛隊岐阜基地(各務原市)の戦闘機をよく見に行くという安八郡安八町の主婦(46)は「日本は戦闘機が豊富で領空は安心できるけど海は心配。上陸させないための防衛費の増額ならいい」と語った。

 一方、共産党と社民党は、防衛費の大幅増額を厳しく批判している。

 増額に反対するメッセージも集まり、岐阜市の会社員男性(71)は「具体的にどの装備にいくらが必要で、どれくらいの効果が見込めるのか。丁寧で慎重な検討が必要」と性急な増額に異を唱えた。郡上市出身の会社員(62)は「今でも十分に防衛費をつぎ込んでおり、ロシアのウクライナ侵攻にかこつけるのはもってのほか」と断じた。40代の事務職女性は「防衛費より社会保障費を増額してほしい」と求めた。

 増額への賛否の判断に迷うとの意見もあった。岐阜市の会社員男性(45)は「戦争には反対だが、防衛力は国際社会と足並みをそろえることも大切。どんな水準を目指すのかは、非常に難しい選択だ」と戸惑いを見せた。

 メッセージは、6月28日~今月1日に募り、82件が寄せられた。内訳は増額に賛成が53件、反対が25件、どちらでもない趣旨が4件だった。