岐阜県では、養豚農家が豚のえさや飼育方法にこだわり、さまざまな独自の銘柄豚肉を生産している。

 おいしい銘柄豚肉があることを知ってもらい、県内に幅広く周知するための一環として、県内の養豚農家や県産ポークを取り扱う関係者などを紹介していく。

VOL.04 たか田八祥

岐阜市杉山町17-2
☎058-262-1750

県産ブランド豚のそれぞれの良さを生かしたい

県産食材で魅力的な日本料理を作り続けてきた料理人

 1989年に開業した「日本料理 たか田八祥」(岐阜市)の主人である髙田晴之さんは、68歳となった今でも日本料理の腕を磨き続けている。2019年度には、農林水産省が日本食文化の普及に尽力した料理人を表彰する「料理マスターズ」でブロンズ賞を受賞。格付けガイド「ミシュラン愛知・岐阜・三重2019特別版」で一つ星を獲得するなど、これまでに岐阜県が誇るさまざまな食材を使った日本料理を、県内のみならず国内外にも提供し続けている。  髙田さんは、県内を代表する食材である鮎を使った日本料理も数多く手掛けてきた。「15年には長良川の鮎が世界農業遺産に選ばれており、清流めぐり利き鮎会(全国各地の河川でとれた鮎を食べ比べる会)でも、岐阜県の鮎は毎年上位を占めているように、自信を持って勧められる食材」と胸を張る。中でも水質の良い和良川でとれる鮎の味は格別だという。たか田八祥でも和良川の鮎を使ったなれずしを作っており、多くの人たちの舌を唸らせてきた。  そのほかにも、山県市の伝統野菜である桑の木豆や飛騨市・山之村の寒干し大根など、さまざまな県産食材を日本料理に使ってきた。「なくなりそうな岐阜の伝統野菜をなくさないためには継続性が大事。しっかりと次の代につなげていかないといけない」と髙田さんは力を込めて語る。

県産の豚肉を使用した高級感あふれる豚まん

 そんな格式高い日本屈指の日本料理店であるたか田八祥で、日本料理の食材としては珍しい豚肉を使った豚まんを作っている。使用されている豚は、合掌造り集落が世界遺産に登録された白川郷で生産されるブランド豚「結旨豚」。衛生管理を徹底して飼育された無農薬豚だ。  長いもやユリネなどを生地として使い、飛騨産のほうれん草で色付けした高級感のある淡い緑色は立春をイメージしており、季節感を漂わせる。「新緑まんじゅう」と名付けられ、舌の肥えた常連客からも「おいしい」と絶賛された。隠し味として生姜や山椒を使用。豚まんの餡には本巣市産の麩があえられており、麩の風味も味わえる。土の中にいる状態から引き抜いた新鮮な竹の子も入っており、シャキシャキとした触感を楽しめる。

食材として今後が楽しみな県産ブランド豚

 これだけ質の良い豚肉を食材として使えるのは、生産農家や仕入れ先と日頃から接し、現場に足を運んでいるから。生産者らの実際の作業内容をしっかりと目の当たりにし、把握していることが大きい。「関市の中濃ミート事業協同組合さんには毎日朝から足を運んで新鮮な肉を仕入れている」と白井さんは話す。また、店長である後藤さんが現場に出向くことで「直接ふれあうことで自分たちの要望も伝えられる」と言う。

 「料理は食材との相性が大切。それを大切にしながら食材を生かしたい」と髙田さんは言う。豚肉を使った料理との相性として、「タレや油のない物を合わせるなどして使ってみるのもいいかもしれない」と話す。県内にはさまざまなブランド豚が各地に存在する。各農家で独自の飼育をしており、豚肉の質や味も異なる。それぞれの良さを持つ岐阜県産ブランド豚は、髙田さんが日本料理で食材として使用したように、これからも多くの料理人によって活用される魅力ある食材になる可能性を秘めている。