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コロナで失業、再就職に障害者支援 社会福祉法人がマッチングサイト運営



移行支援に取り組む大野多喜さん(左)。「やりがいがある」と目を輝かせる=岐阜市日野東、プー・ア・プー
移行支援に取り組む大野多喜さん(左)。「やりがいがある」と目を輝かせる=岐阜市日野東、プー・ア・プー

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で仕事を失った人に向け、再就職先として障害者福祉施設を選択肢に入れてもらおうと、マッチングサイト「Give emotion(ギブ エモーション)」が誕生した。異業種から転職した経験を持つ職員の声を紹介し、現場の雰囲気や仕事の内容を伝えるほか、職場の見学や短期間の就労体験も受け付ける。同様のサイトは珍しいといい、立ち上げ以降、参画する事業所の輪が少しずつ拡大。就職希望者からの問い合わせも増え、福祉現場の慢性的な人手不足の解消にもつながると期待される。

 国や自治体の支援を受けてサイトを運営するのは、精神障害者らの就労支援に取り組む社会福祉法人「舟伏(ふなぶせ)」(岐阜県岐阜市)。総合施設長の森敏幸さん(71)は「障害者福祉の現場は実態以上にきついイメージがあり、人が集まりにくい。事業所側も特にウェブでの情報発信については控えめになりがち。就職を希望する人に向けて、各事業所の業務内容をきちんと伝える仕組みを整えたかった」と話す。

 サイトでは、ITや調理、農業、制作、送迎など自分の持ち味を生かせる業種と働きやすい地域を選択することで、希望に合った職場の候補を見つけることができる。事業所ごとに写真や業務内容の説明もあり、興味があれば見学や短期の就労体験も申し込むことができる。現在は岐阜地域だけで展開しているが、他地域にも拡大するよう検討を進めている。

 異業種から福祉現場に転職した〝先輩〟の声も動画や文章で紹介する。岐阜市の「工房はばたき」が運営する就労移行支援施設のパン店「プー・ア・プー」で、指導員として働く大野多喜さん(39)もその一人。出身は和歌山県で、専門学校で陶芸を学び、滋賀県の信楽焼の窯元で10年勤めた。その後、高齢者の訪問介護の仕事に就いたが、どちらの仕事も休みなく働く日々で「心身とも疲れ切った」。人を通じた縁があり、2018年に工房はばたきに移った。

 パン店では、一般企業への就職を目指して訓練に臨む障害者の指導に当たり、自らもパン生地をこねる日々だ。陶芸や介護という異業種からの転身だが「お金をもらって支援する感覚ではなく、一緒に働きながら(利用者の)就職を目指すので、達成感ややりがいがすごく大きい」と充実感をにじませる。障害者一人一人で抱えている課題が異なるため「しっかり向き合って接する支援が必要」という。自分が支援した利用者が就職し、元気な表情で近況を報告してくれることが大きな喜びという。

 3月末の設立以降、サイトに登録する事業所数は少しずつ増え、現在は岐阜県内6市町の52事業所に拡大、問い合わせも増えている。コロナ禍で世の中の就労環境が大きく変わり、働き方を見直す動きが進む中、森さんは「何のために、誰のために働いているのか、分からなくなっている人が多い。障害者福祉の現場は、自分の力や情熱が誰かの光になれる仕事」と魅力を語る。

 問い合わせはサイト運営事務局、電話058(215)8248。ギブエモーションのURLはwww.give-emotion.com

カテゴリ: 新型コロナウイルス 社会




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