ビールサーバーの手入れをするスタッフ=30日午後、岐阜市柳ケ瀬通、菊川酒蔵

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、岐阜県を含む19都道府県に発令されていた政府の緊急事態宣言は30日の期限で全面解除された。酒類提供の自粛要請を受け休業していた県内の飲食店の多くは、1日からの営業再開に向け準備作業に追われた。ただ、どこまで客足が戻るか見通せないこともあり、酒類、食材の卸業者への発注は鈍い。再開を見合わせる店もあり、飲食店や周辺業者は慎重に状況を見守っている。

 30日正午すぎ、岐阜市柳ケ瀬通の居酒屋「菊川酒蔵」は、店長の岩木正弘さん(44)らスタッフ5人が翌日の営業再開に向け、100種類近くあるという串や揚げものなどのメニュー、だしの仕込みに精を出していた。ビールだるの運び込みの力仕事にも汗を流した。

 「やっとお客さんに会えるんだから、力も入ります」と岩木さん。再開はするものの、第6波への懸念が頭によぎる。「どうしても発注は慎重になりますよね」。突如の宣言だったため、休業前に廃棄せざるをえなかった食材、封を開けてしまっていたビールなど損害は少なくなかったという。

 岐阜市真砂町の鮮魚店「魚喜」では、歓楽街の柳ケ瀬に近いこともあって、客の中心は近隣の料理店という。9月末での緊急事態宣言の解除が発表された28日以降、数件の注文や問い合わせがあったというが、出足の動きは鈍いという。「まだ時短営業が続くので、様子見の料理店が多いよう」と広瀬邦明社長(79)。

 付き合いがあったのは夫婦で営むなど規模の小さな飲食店。コロナ禍で繰り返される休業、営業時間短縮で廃業した店もいくつかあった。コロナ禍前と比べると売り上げは3分の1にまで落ち込んだ。「大人数での宴会がなくなり、まとまった数量の注文が入らなくなった。宣言が明けても、生活習慣自体が変わってしまったので、その影響はまだ続くだろう」とみている。

 「1日も早く全面解除してほしい。まだまだ出口は見えない」。岐阜市内で酒類卸業を営む男性は肩を落とす。昨夏、今夏の売り上げとも2年前より最大で8割減。巻き返しを図りたいが、しばらく続く営業時間短縮が影響してか、思うように注文は入ってこない。「家飲みやテレワークなど生活様式の変化もあり、店でお酒を飲む機会は減っている。うちは運良く残れただけ。消費がどこまで戻るかは未知数だ」と語る。

 緊急事態宣言は明けるが、県は14日まで、岐阜、大垣市など8市町の飲食店を対象に営業の時短要請を継続する。認証店は午後9時まで、非認証店は同8時まで。