福島市の笹谷小学校から届いたメッセージを児童に紹介する山内登下呂市長=8月25日、下呂市小坂町小坂町、小坂小学校
笹谷小児童からの応援メッセージ

 岐阜県下呂市の学校は、新型コロナウイルスによる休校に加え、7月豪雨の影響でも休校になった。校区内で多くの土砂流入に見舞われた小坂小学校(同市小坂町)児童はつらい経験を乗り越えて一回り成長した。福島市の小学校などから応援メッセージも届き、エールを力に変えて前を向いている。

 大雨警報の発令が続いたことから、市内の学校は豪雨による休校が続いた。警報が解除された直後の7月13日に市内の大半の小中学校は再開したが、小坂小は土砂流入などで通学路に危険がないか確認するため同日も休校。14日は再度の警報で休校となり、再開できたのは15日だった。

 中川明博校長(55)は学校再開の日、各学年の教室を回った。感染症対策で密集は避けながら、児童たちに「助け合っていこう」と話し掛けた。10軒ほど児童の自宅が被災し、多くの子どもが間近で起きた災害を経験した。表面上は落ち込んだように見えないというが、教師らは変わった様子がないか見守っている。

 応援メッセージを寄せたのは福島市の笹谷小学校。送り先は岐阜県のほか、熊本県、佐賀県、長野県、山形県。豪雨のニュースを見た児童が「何かできることはないか」と考え、児童会の代表が7月下旬、全校に協力を呼び掛けた。励ましの言葉が書かれたカラフルなメッセージカードが集まると、台紙に貼って各県庁に送った。県内では、被害の大きかった小坂小に届けられることになった。

 8月25日、同校でメッセージの伝達式があった。4~6年生が体育館に集まり、山内登市長からメッセージの貼り付けられたボードが児童代表に手渡された。山内市長は「災害や新型コロナに負けずに頑張って、というメッセージをもらった。福島市は約10年前の東日本大震災で被災した地域。東北地方の人たちは復興に努めている。私たちも災害に負けない下呂市をつくっていきたい」と話した。

 自宅が被災した6年生の山下航君は「災害は怖いが、土砂の撤去を地域の人たちに助けてもらった。困っている人を助けられる人になりたい」と前を向いた。

 このほか、不破郡垂井町の府中小学校からも応援のメッセージが入ったDVDが届き、全校児童で見たという。応援メッセージを寄せた両校には、6年生の児童がお礼の手紙を送った。

 中川校長は、コロナ禍や災害の経験について「何事も『コロナや豪雨のせいでできなかった』というのではなく、工夫して進めたい。児童の考える力を育てるチャンスといえ、積極的な行動を促したい」と話した。