通行人に支持を呼びかける候補者=9日午後7時、岐阜市内
銃撃された安倍晋三元首相の死去を悼み、喪章を付け街頭演説する候補者=9日午前10時50分、岐阜市内

 参院選(10日投開票)の選挙戦最終日となった9日、5人が争う岐阜選挙区(改選数1)では、4候補が大票田の岐阜市内を回った。前日に安倍晋三元首相が凶弾に倒れ、選挙運動の是非を思案する陣営もあったが、各候補は「暴力に屈しない」との決意を示すように最後の訴えに声をからした。有権者からは「安全な日本にしてくれる候補に」「必ず投票に行く」などの声が聞かれた。

 自民現職で国土交通副大臣の渡辺猛之候補(54)=公明推薦=は選挙カーで巡回予定だったが「(政治家が)街頭に立って訴えることを安倍元総理は望んでいる」と急きょ2カ所で街頭演説。喪章を付け「遺志を継ぎ、国を守り、地方を守る」と力を込めた。瑞穂市の主婦(54)は「事件がショックだった分、演説が身に染みた」と話し、会社員の夫(57)は「子どもからお年寄りまでが暮らしやすく安全な日本にしてくれる候補を選ぶ」と語った。

 国民民主新人でフリーアナウンサーの丹野みどり候補(49)は「萎縮し、言論が封じられればテロリストの利益になる」と、岐阜市や各務原市で街頭演説を実施。「給料が26年間上がっていない日本の経済を変えたい。どうか私に一票を託して」と訴えた。岐阜市の会社員(22)は「将来、家庭を持ったときに不安がないよう、頑張ったら頑張った分だけ給料がもらえる社会を実現してほしい」と願った。

 共産新人で党西濃地区委員会常任委員の三尾圭司候補(45)は、安倍元首相が目指した改憲に関し「戦後の平和があったのは憲法9条があったから。絶対に止めなければならない」と強調。岐阜市の女性(61)は「改憲の阻止を望む。不正がまかり通る政治をただして」と話した。

 諸派新人で政治団体「参政党」岐阜選挙区支部長の広江めぐみ候補(43)は、安倍元首相がスローガンとした「日本を取り戻す」が頭に残っているといい、喪章を付けて街頭演説。「日本人のための政治に」と声を張り上げた。岐阜市の自営業(47)は「食と健康、子どもの教育など訴えは全てまっとう。必ず投票に行く」とした。

 名鉄岐阜駅前で複数の候補の演説を聞いた岐阜市の女性(78)は「言論の自由が暴力に屈してはいけない。暴力にはノーと示すため、民主主義を大切に守っていくため、必ず1票を投じたい」と話した。

 NHK党新人で参院議員秘書の坂本雅彦候補(50)は事件を受け、党の方針で9日は選挙活動をしない予定だったが、急きょ方針が変更され、東京都内で党比例候補の応援を行った。