岐阜県西濃地域の自治体で今春、火災や災害発生時に地域防災の要となる消防団の定員や待遇の見直しが進んでいる。人口減少や高齢化が進んで担い手の確保が難しくなる一方で、地域防災力の維持には欠かせないためで、各自治体は人口規模や訓練の頻度など、身の丈に合った在り方を模索している。消防・防災行政を専門とする関西大学の永田尚三教授は「見直しの動きは各自治体に波及していくのではないか」と指摘する。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」消防団は、消防組織法に基づき市町村に設置される消防機関で、団の管理運営は各自治体が担う。団員は非常勤の地方公務員に位置付けられ、消防署と協力して消火活動に当たるほか、啓発活動にも従事し、報酬や、出動ごとに費用弁償が支払われる。県消防課によると、県内約40の団で約2万人が活動している。
永田教授は、西濃地域で見直しが進んでいる状況を「団を担う若い世代の中には、消防団を『前時代的な組織』として避ける向きがあり、過疎や高齢化も加わって定員を守ることが地域の負担になっている。総務省が昨年、処遇に関する検討会を設置したことも後押ししている」と分析する。
安八郡輪之内町は今年4月、定員約110人の編成を改めた。町の消防団は、一般の団員と、町長の承認を得て任用される「機能別消防団員」で構成するが、人口動態を踏まえて一般の団員は減らす一方で、機能別消防団員は増やした。増員分は、これまで日中の火災発生時に交通整理などに当たっていた町職員を充てる。町担当者は「団を担う各地区の負担を軽減するとともに、有事の際にすぐ駆け付けられる役場職員で、可能な限り対応していきたい」と話す。
不破郡垂井町は今年4月、団の編成見直しに合わせて、県内平均と比べて低かった報酬を約20年ぶりに引き上げた。役職ごとに異なるが、平均1600円を増額。一般の団員だと年2万2100円となる。町担当者は「団員は仕事をしながら消火活動に協力してもらっている。少しでも報いたい」とし、「平均と比べてもまだ多い訳ではないので、(さらなる増額を)今後の課題として検討していきたい」と話す。
揖斐郡揖斐川町は、消防団の負担軽減を重要な地域課題と位置づけ、岡部栄一町長の号令で検討を始めた。定員の見直しや、負担が大きいと指摘されている消火技術を競う操法大会に向けた訓練の在り方を検討項目としている。来年の募集からの見直しを目標に消防団と協議を進める方針で、岡部町長は「消防団を負担に思い、若い人が地元を離れる要因になってはいけない。地域の皆さんに支持される、身の丈に合ったものにしたい」と話す。
永田教授は「大規模災害時には、地元の実情を知る消防団が大きな役割を担う。見直しの動きは広がるとみられるが、国が方針を示す必要もあるのではないか」と指摘する。










