開幕まで100日を切った東京五輪。期間中は33競技339種目が繰り広げられる。なじみのなかった競技に触れることができるチャンスで、ルールを知れば、楽しさは一層増すはず。大会への出場が見込まれる岐阜県内のチームや選手から、本紙記者が競技の基本や見どころを教えてもらう。

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 第3回は、6・1メートル四方のリング上で激しいパンチの応酬が繰り広げられるボクシング。日本代表や全国高校総体上位入賞者らトップクラスの選手を多数輩出してきた岐阜工高で部員らに教えてもらった。

 「パンチを決めに行くまでの過程には、いろいろな動きの積み重ねがある」と語るのは、高校から競技を始めた沢井啓希。多彩なパンチや軽快なフットワークを駆使し、いかに相手のガードの隙を突いてパンチを当てるかという「戦略」がまずは求められる。

 基本的なパンチは、相手との距離を測ったり、けん制したりする「ジャブ」、体の回転を生かして強い一撃を直線的に放つ「ストレート」、下から上に突き上げるように打つ「アッパー」、肘を曲げて相手の側面を狙う「フック」。選手はこれらの技のコンビネーションに、パンチの角度やタイミング、足の動きを組み合わせて攻撃のバリエーションを生み出す。

 パンチのスピードや威力に加え、有効打がさく裂した際の迫力がボクシングの魅力。しかし、リング上で対峙(たいじ)する2人が水面下で繰り広げているのは、パンチを当てるための高度な「心理戦」でもある。沢井が「頭の中で瞬時に攻撃を組み立てて実践するのが面白い」と話すように、スピード感あふれる駆け引きも醍醐味(だいごみ)の一つだ。

 東京五輪では男子8、女子5の計13階級で頂点を競う。男子はヘッドギアなしで戦い、試合は男女とも3分3ラウンド。最長12ラウンドを戦うプロの世界タイトルマッチなどと比べると短いが、短期決戦となる分、1ラウンド目からよりスピーディーで積極的な戦いが展開される。主将の加藤正悟は「相手を研究して弱点を突けるように練習し、自分の得意な戦い方に持ち込めるように先に試合をコントロールすることが大切」とポイントを語る。

 豪快な一撃で相手をリングに沈めるKOに目が向きがちだが、プロとは異なり、アマチュアはジャッジ(審判)の判定で勝敗が決まることも多い。5人のジャッジが「10点法」と呼ばれる採点法で、それぞれ優勢の選手に10点、劣勢の選手に7~9点をつける。ジャッジに見えやすい形で、拳に体重が乗ったパンチを正確に当てることができるか―。アマチュアならではの難しさでもある。

 選手たちの闘志あふれる姿勢は、何よりの見どころだ。「試合中に頭が真っ白になり、考えてきたことができなくなることもある」と加藤が話すように、恐怖心に打ち勝ち、思い描く戦略を貫き通す強いメンタルも必要だ。極限の戦いの中で試されるのは、「日々の練習でどれだけ自分を追い込んで努力してきたか」と加藤。世界最高峰の舞台で躍動する選手の一挙手一投足から、目が離せない。