JR東海が旅行ツアーの販売で、従来にない取り組みに挑んでいる。観光というよりも地域交流を目的にしたツアーだ。背景には、都会からの訪問者と地域の人たちを結び付け、その人脈を将来的なまちづくりに生かしてもらおうという狙いがある。

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採れたてナスでホットサンド

若手農家の伏見純哉さん(右)に教わりながらナスを収穫する親子=美濃市極楽寺、伏見さん農園

 「こうやって実るんですね」「日光に当たることで紫色になるんです」
 今年9月、岐阜県美濃市のナス畑。名古屋市から訪れた親子が地元の若手農家、伏見純哉さん(25)に教わりながら、丸々と実ったナスを収穫していた。採れたてのナスは、ビニールハウスの中に設けた即席キッチンで調理。ナスをふんだんに使ったピザ風ホットサンドにして味わった。

最後に記念撮影をする伏見純哉さん(右)と名古屋から来た親子。互いにSNSをフォローし合った=美濃市上野

 父親の会社員、玉那覇(たまなは)雅人さん(36)は「観光だけでは、ここまで地域に踏み込めない。今回、伏見さんと知り合えたのでセカンドハウス的に美濃市に通うかも」と笑顔を見せた。今後も折に触れて交流していくといい、SNS(交流サイト)を互いにフォローし合っていた。

訪問者は貴重な人財 

 人口減少や高齢化といった課題を抱える地方にとって、都会からの訪問者は貴重な〝人財〟だ。取り組みは、観光キャンペーンにとどまらない観光以上・移住未満の「関係人口」の創出を目指したもので、JR東海グループが岐阜県内を舞台に地元と連携。この秋から地域交流型ツアー商品の販売を始めた。

 効果を探る実証実験として来年3月まで行う計画。美濃市と関市を舞台にした第1弾では、地方でのワーケーションなどを提唱する「みのシェアリング」(美濃市)などと連携した。農業体験をはじめ、地元の酒客と巡る居酒屋ツアーといった地域交流が図れる商品を、買い物サイト「JR東海MARKET」を介して販売、実施してきた。

 ここまでの感触についてJR東海・事業推進本部の吉澤克哉さんは「岐阜県内外から幅広い年齢層が参加している。関東や関西、北海道からも申し込みがあった」と振り返る。

無人駅盛り上げるプロジェクトも

飛騨市の「杉崎駅」を舞台にした第2弾を募集するJR東海MARKET

 11月からは、飛騨市と連携した第2弾も開始。高山線の無人駅「杉崎駅」(飛騨市古川町杉崎)を盛り上げる地域支援プロジェクトで、駅前の「御所桜」の開花時期に合わせて何ができるかアイデアを募り、地域の人や同駅を管轄する高山駅の係員とオンラインミーティングを重ね、現地で実行に移す。行程ごとに参加者を募り、最初のアイデア募集は同サイトで今月6日まで行っている。

 JR東海が地域を舞台に取り組む新たな挑戦。吉澤さんは「JR東海グループとしても関係人口を増やしていきたい。地域が元気になれば、われわれも元気になれる」と可能性を探る。