27日に全国公開が始まった映画「レジェンド&バタフライ」。乱世を駆け抜ける織田信長と濃姫の姿を、木村拓哉さんと綾瀬はるかさんが演じる。また、濃姫を支える福富平太郎貞家には、岐阜市出身の伊藤英明さんが配役されている。

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 公開に合わせ、大友啓史監督が岐阜新聞社のインタビューに応じた。作品で向き合った信長や濃姫の姿、信長ゆかりの地でもある岐阜への思い、映画の見どころについて話を聞いた。紙面でのインタビューに加え、大友監督が語った言葉を詳報として紹介する。

映画「レジェンド&バタフライ」について語る大友啓史監督=名古屋市内
大友啓史(おおとも・けいし) 1966年、岩手県生まれ。慶應義塾大学卒業後、90年にNHK入局。連続テレビ小説「ちゅらさん」、大河ドラマ「龍馬伝」などの演出、映画「ハゲタカ」(2009年)の監督などを務める。11年にNHKを退職し、映画「るろうに剣心」(12年)や「プラチナデータ」(13年)、「秘密 THE TOP SECRET」(16年)など話題作を手がけている。

 ―映画に出演している木村さんと伊藤さんが練り歩いた、昨年11月の「ぎふ信長まつり」。大友監督はどのように受け止めたでしょうか。

 織田信長は400年くらい前から現在に至るまで人気がある武将で、時空を超えたヒーローのような人物です。そして、木村さんはわれわれにとって同時代のアイドルでありヒーロー。この掛け合わせのすごさを「ぎふ信長まつり」で眼前に見るような思いがしました。

 武者行列の時、木村さんたちは撮影現場で使った衣装を着ていました。その姿を見て「もう一回撮りたい」と思ったほど。映画のためにわれわれが作り上げた「木村信長」のパワーを確認できた気がして嬉しかったですね。

 映画は濃姫との物語ですし、岐阜城という場所が物語の中でキーになる場所です。あのような姿で岐阜に戻ってこられて、スタッフや木村さんはもちろん、それをアレンジしてくれた伊藤さんも感動しました。

 ―「岐阜ならでは」の視点で、信長や濃姫の姿を楽しむ見方はありますか。

 これまで信長の物語といえば、男性目線から描かれた作品でした。ライバルの武将、羽柴秀吉や明智光秀といった人物の目線による信長像で、非常に優れた敵将、油断できない戦略家や革命家といったキャラクターだったと思っています。

 しかし、今回の映画で描く信長は、美濃の濃姫から見た信長像なんです。だから映画では、木村さんが部下や敵将から恐れられるような信長を演じただけではなく、濃姫の前で悩み苦しむ人間味ある姿を演じていくわけです。実際、ものすごくリアルに描けたのではと思っています。木村さんは信長の生まれ変わりではないか、と思うぐらい。

 また、信長は、濃姫のような存在がなければ後世に伝わるような姿になれなかったと思っていて、濃姫がいた岐阜という舞台が、この物語では非常に重要な位置を占めていると思っています。

 だから、この映画を作る前、最初に来たのは実は岐阜なんです。岐阜でいろいろな場所を回り、濃姫が生まれ育った土地の空気を感じようと思いました。当然、岐阜城も登りましたし、信長ゆかりの崇福寺で信長直筆の書も見ました。この岐阜という土地で過ごした時間を、映画に注ぎ込んだという思いがあります。

 ―映画ではスケール感のある「岐阜城」が表現されています。

 訪れた岐阜城跡は今、発掘で新しい姿が見え始めています。こういった最新の研究を基に、今までの映画や映像の中で表現されていなかった岐阜城を、京都にオープンセットという形で再現しました。

 史料によると、どうやら信長は、朝廷の偉い人たちを接待する施設を造っていたようです。中国では岩場によく見られる施設で、切り立った岸壁に、空中建築のような木造の建物がいっぱいあったそうです。そして、信長もそういった接待施設を造っていたのでは、という説があります。当時の教養は中国から来ており、信長の教養は高かった。となれば、やはり偉い人を接待する時に、そういった建築物で接待していたのではないか、と。

 その説を受けて、われわれはそのようなオープンセットを京都の外れに造ったんです。近年あまりない、時代劇では見られない巨大なセットです。僕らとしては、今まで見たこともないような岐阜城を再現しました。撮影現場に来た木村さんや綾瀬さんをびっくりさせてやろうと思って、結構巨大なセットを作ったんですよ。それは全部、岐阜でリサーチして造ったものです。

©2023「THE LEGEND&BUTTERFLY」製作委員会

 映画は信長と濃姫という夫婦の話で、二人の成長物語でもあります。物語は輿入れ(婚礼)から始まります。ある種の政略結婚で、二人とも最初から愛があったわけではない。少しずつ愛を発見し、その愛を育て、成熟して二人が最期を迎えるわけです。

 住む場所にはその人の考え方や、今置かれている状況が反映していくものです。そのため今回、信長と濃姫が住んだ場所を丁寧に調べていきました。

 信長は、名古屋城(那古野城)や清洲城に始まって、濃姫の故郷でもある岐阜の稲葉山城を取り戻す。そこで二人が愛の生活を始める。しかし、戦国時代で戦いが激しくなると、濃姫との仲が悪くなり、険悪な雰囲気がある氷の城のようなお城に変わる。そして、二人が別れた後、信長は権力を示すかのように天を突く安土城を建てます。

 考え方や置かれている状況が変わるたび、城のありようも変わっていく。それはまさに二人のコンディションを表している。その中で、岐阜城にいた時期は、信長と濃姫の仲が一番良かった時期で、そこで天下取りの礎を固めた。ですから、映画では岐阜城での二人の暮らしを、最も厚く描いています。