岐阜県養老町船附の宮島畳店が6月から、町民が無料で利用できる移動販売や買い物代行のサービス「御用聞き」に参入した。移動販売は町事業として昨年から始まり、5月まで町外の事業者に委託していたが、本年度から地元をよく知る業者に委託しようと募集。畳店の副業で配送業をしていた店主の宮島克裕さん(63)が手を挙げた。買い物に出掛けるのが困難な高齢者を支援するほか、見守り活動としての側面もあり、きめ細かな目配りが好評を得ている。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」「菓子パンはどんな味がいいですか」。宮島さんは利用者の玄関先で膝をつき、穏やかな口調で好みを探りながら注文を受ける。利用する70代女性は「足が悪いので本当に助かっている」と感謝する。
サービスの登録者は約70人。主に利用するのは70~80代で、車の運転ができなくなった高齢者が中心だ。人口減少や大手スーパーの増加で、高齢者が徒歩で買い物に行ける個人商店などが地域から減ったことが背景にあるとみられる。
カタログから商品を選び、注文書を宮島さんに手渡すと、1週間後に家まで配達してくれる仕組み。野菜や魚、肉などの食材のほか、ふなみそなどの郷土料理、揚げ物や弁当などの総菜も並ぶ。最近は、客からの要望で仏花や生菓子なども追加した。トイレットペーパーなどカタログにないものは、客の好みや使い慣れた物を聞いて買い物代行している。
注文は手書きで、ほとんどが現金払い。ネット通販が浸透した現在では珍しいアナログな手法だが、宮島さんは「非効率かもしれないが、サービスを必要としている人がいると実感している」と笑顔。かつての御用聞きのような利用者との距離の近さは、高齢者の見守りにもつながっている。
利用者から住まいの修繕などの要望があれば近隣の業者を紹介するなど、地域の商工業者の応援にもつなげる。来月からは販売車に菓子や乾麺などを積み、客が好きな物を買える通常販売にも乗り出す予定だ。宮島さんは「商品を届けると、待っていてくれたのだと伝わってくる。お客と対面だからこそできる御用聞きの強みを感じている」と語る。










