鉄道愛好家の団体「鉄道友の会」が〝鉄道車両の最優秀賞〟を選ぶ「ブルーリボン賞」で、今年受賞したJR東海のHC85系は、昨年7月から高山線の特急「ひだ」で活躍する。どのように優れた車両なのか。

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ブルーリボン賞を受賞した新型ハイブリッド特急車両HC85系=下呂市幸田

 記者がHC85系の現物を初めて見たのは、2020年2月にJR高山線で試験走行を始めた時だ。表面が平滑なステンレス製の車体に、白とオレンジのラインの入った外観。当時、記者は下呂市の下呂支局に勤務。飛騨川や森林を背景に走る姿は、早々に風景になじんでいると感じた。

飛騨川沿いを名古屋に向けて走るキハ85系=23年2月、下呂市小坂町門坂

 HC85系の前任となるのは、1989年デビューの気動車キハ85系。キハ85系は、JR東海が分割民営化後に初めて開発した特急型車両。外観はステンレス製の車体に大きな窓。「ワイドビューひだ」の愛称で長年、親しまれてきた。大出力のエンジンを1両に2台搭載していた。旧国鉄時代の車両と比べ、大幅にパワーアップ。東海道線など平地では最高時速120キロで走行。高山線などの山間部も力強く走った。

HC85系のエンジン周辺=2022年、名古屋市内

 HC85系は、発電のためのエンジンを1両に1台乗せている。キハ85系と比べエンジンの数は半分になったが、最高時速120キロで走行できる。エンジンの数が減ったことで、発生する音や振動も減った。沿線住民からも、HC85系は「静かに走る」との声が聞かれた。

HC85系の普通車の車内=2022年、名古屋市内

 HC85系が営業運転を始めた翌日から、何度も乗車する機会があった。普通車のオレンジ色の座席に体を預け、発車を待つ。ドアが閉まるとエンジンが始動する。エンジンの音に混じり、モーターやモーターを制御する音も聞こえる。全身を震わせ加速するキハ85系と比べ、HC85系は静かに走りだす。

 7月1日からは、HC85系は名古屋と紀伊半島を結ぶ特急「南紀」でも運行が始まる。

2022年7月1日、HC85系デビュー当日の様子

 広瀬丈士(ひろせ・たけし) 下呂支局や可児支局など岐阜県内での取材や紙面編集の傍ら、鉄道など公共交通機関を取材。2007年から20年にかけて岐阜新聞Webで掲載した「『鉄』記者ブログ」筆者。