飛騨市の旧宮川村にあります。宮川を挟んだ西の対岸には、旧河合村の小無雁があります。

 雁はカモ科の鳥のガンで、カリとも読みます。「無雁」は、「鳥(ガン)がいない」という意味の「むかり」かと考察したいところですが、どうやら借字のようです。本来の由来は「靄(むかり)」。「もや」ということでした。

 当地は宮川と小鳥(おどり)川の合流点に近く、川底が高くて川幅が急に広くなる所。現在も雨後などには「もや」が水面に立ちます。江戸期の史料には既に「大むかり村」とあることから、ずっと変わらない自然に囲まれた地域であることを地名が物語っているともいえるのではないでしょうか。

 豊かな自然は当地の巨樹にも見て取れます。大無雁はいずれも県指定天然記念物の「弥栄(やさか)スギ」や「若宮八幡神社スギとトチノキの双生樹」などで知られています。

(『角川日本地名大辞典』などを参照)

 

【答え】おおむかり