【大垣日大３―１岐阜城北】
大垣日大・阪口慶三監督ならではの、バントを効果的に使って３点リードとした直後の三回裏。先発の１年生右腕中野翔真が連続死球で２死満塁のピンチに立った。ここで阪口監督の選択は、左腕杉山梨久斗への継投。いきなりの連続ボールで「ばたばたした」と振り返った杉山だが、２―２とした後、得意のスライダーで中飛に打ち取ってから、快投が始まった。「コントロールよく、安定している」と評価し、背番号１を与えた阪口監督の期待に見事に応えた。
背番号１を背負って躍動する左腕杉山
今夏の甲子園で強烈な印象を残した大垣日大の新チームは、前チームから投げていた権田結輝がエースで４番と目されていたが、阪口監督がエースに指名したのは杉山だった。「軽く投げ、球の回転がいい」と阪口監督。大会前の練習試合でも享栄（愛知）、岐阜第一ともに５回無失点と好投した。迎えた県大会初戦の岐阜城北戦でも失点すれば、一気に流れを渡しかねない重要な場面で、重責を果たした。
「自分は変化球ピッチャー。最初のフライアウトで感覚を取り戻した」と語る杉山。内角への制球抜群の直球で追い込み、スライダー、さらにはカーブで詰まらせるなど、持ち味を十二分に発揮し続けた。唯一、併殺打の間に失点した六回以外の５回をすべて３人で仕留め、岐阜城北打線に付け入る隙を与えなかった。
その六回も「甘く入った」と語る連打と自らの犠打野選で無死満塁のピンチを招いたが、遊撃併殺打、中飛と変化球で打ち取った。初戦の難敵を退けた快投にも「７割の出来。無失点に抑えたかったし、ピンチでもっと三振を取れるようになる」と背番号１は、さらなる飛躍を誓う。
「１週間後はもっと強くする」 名将が鍛える新チームの今後に注目
県内で最も新チーム発足が遅く、初戦の戦いぶりが注目された甲子園出場校。先制は二塁打の権田をきっちり三塁に送ってから、スリーバントスクイズ。三振に終わったものの三塁送球の敵失を誘って先制。二回の２点も先頭の四球出塁を確実に送ってからの連打による得点で阪口日大らしいゲームメーク。四回以降は加点できなかったが、スタートしたばかり。「１週間後（３回戦）はもっと、強くする」と明言する名将に鍛えられるナインの今後の成長から目が離せない。
