岐阜県教育委員会が17日に実施した来年度採用の公立学校の教員採用試験で、小学校の採用倍率が30年ぶりに2倍を割り込んだことが分かった。小学校の倍率は7年連続の低下で、歯止めがかからない状況に、県教委は「深刻な状況。教育の質低下にもつながりかねない」と危機感を募らせる。

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 「今年こそは教員になりたい。そのために勉強を続けてきた」。17日に岐阜市の岐山高校で行われた小学校の教員採用試験の直前、県内の20代女性は神妙な面持ちで語った。女性は昨年、教育学部在学時に受験したが、不合格に。卒業後は名古屋市内の企業で働きながら、試験勉強に取り組んできた。「同級生の多くは『学校はブラックだから』と教員を選ばなかったが、自分は子どもの頃からの夢だから」と言い残した。

 文部科学省によると、2010年度の国全体の採用倍率は6・2倍だったが、20年度は3・9倍まで低下した。岐阜県でも同様の傾向で、小学校の倍率は2000年度の19・26倍(採用者38人)、中学校は1999年度(同27人)の33・26倍、高校も同年度の23・00倍(同29人)をピークに低下が続く。小学校では今回、1・99倍(採用予定者数295人程度)となった。2倍を切るのはバブル期の92年以来。志願者数は587人で、記録が残る中では初めて600人を割り込んだ。

 県教委によると、県全体の志願者は5年前と比べて新卒者が14人増えた一方、既卒者は約500人減った。教員の定数増により採用予定者数が高止まりし、複数回受験していた既卒者が合格したり、民間企業に就職したりするケースがあるとみている。県教委教職員課の中村有希課長は「教育の質向上のためには一定程度の倍率が求められる」と競争の必要性を強調する。

 受験者増に向け、県教委も対策に乗り出している。今年は小中学校の試験で併願制度を導入し、筆記試験の免除対象者も拡大した。これまでも資格による加点や志望資格の年齢制限の撤廃を行うなど試験を受けやすい環境をつくってきた。

 県内の高校生や大学生への説明会といったPRにも取り組む一方で、「『教員になりたい』と思ってもらえる職場づくりも重要」(中村課長)として、教員の働き方改革も推進している。本年度は新たに、感情のコントロールを目的とした研修会を実施。専用機器を活用したストレスや疲労を把握する仕組みも構築している。中村課長は「能力と熱意のある人にぜひ受験してもらえるよう、さまざまな面から改善を図っていきたい」と話している。