岐阜市の公立小学校の低学年学級で、担任教諭の叱責(しっせき)をきっかけに児童が相次いで登校拒否になった問題について取り上げた「あなた発!トクダネ取材班」の記事には、保護者らから共感の声がある一方、「厳しい指導は必要」との声も上がる。かつて中学校の教壇に立ち、現在は不登校の子どもたちの支援に取り組む男性は「大切なのは生徒との信頼関係だ」と話す。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」「子どもを悪く育てようと思う教員は一人もいない。ただ、自分自身、教員と生徒という上下関係に甘えて、指導を押し付けていた時期がある」。そう話すのは岐阜市長旗町でフリースクールなどを運営する「NPO法人えん」の加藤隆史理事長(40)。県内の中学校で約10年勤務した。「生徒との間に信頼し合っているという関係性がなければ、指導は指導でなくなる」
体育が専門で、剣道部の顧問も務めた。「かなり厳しい教員だったと思う。『日常生活が全てだ』と指導していた」と振り返る。スカートを折り曲げて短くしている女子生徒はその場で直させた。部員には「通知表の生活面でマイナス評価があったら試合に出さない」と明言していた。
学級運営はうまくいっていた。「生徒を管理し、自分の指示をよく聞く『学級王国』が出来上がると、『自分の理想の教育に近づいている』と錯覚する。でもそこについてこられない生徒が出る危うさもある」。だからこそ、生徒の声を聞くことに心血を注いだ。
自分の思いを伝えるために学級通信を毎日発行した。「どう思う?」と投げ掛けると、生徒は生活記録ノートに思いを書いてくれた。口数が少ない生徒とは放課後に話す時間を作り、本心を聞こうと努力した。
当時の方針を後悔はしていない。しかし今は「管理は必要ない」との立場だ。フリースクールの子どもたちと向き合い、「互いの違いを理解し、気持ちよく過ごすにはどうしたら良いかを皆で考えることが一番大切」と痛感したからだ。
「教員は生徒を叱るときに慎重に言葉や口調を選ぶし、自分がすっきりするためではなく、生徒が変わってくれることを願って怒っている」と信じている。「だが生徒側が自分の言葉をどう受け止めているのか知ろうとすることもまた重要だ。教員の一言で人生が変わる子もいるのだから」
◆不登校児童3人のうち2人「不適切指導が一因」 市教委
担任教諭の指導をきっかけに登校できなくなる児童が相次いだ問題で、不登校になった児童3人のうち2人について、学校が教職員との関係に起因すると岐阜市教育委員会に報告していたことが、24日までに市教委などへの取材で分かった。市教委は「不適切な指導が不登校の原因の一つだった」としている。
この小学校では昨年度、低学年の24人学級で3人が年度末まで不登校となっていた。3人はいずれも保護者に担任の教諭に叱責(しっせき)されたり、叱責する姿を見たことをきっかけに「先生が怖い」と訴えていた。
学校や市教委によると、同校が不登校児童について報告する際、複数回答が可能の不登校の原因を尋ねる項目で、3人のうち2人は「教職員との関係」を選択。残る1人は「不安などの情緒的混乱」のみ該当するとしていた。
市教委は、昨年12月に同校の校長から「低学年学級で不登校が数人出ていて、『先生が怖い』と言っている」と報告があったことを受け、威圧的な指導にならないよう十分注意するようにと校長に指示。その後も今年3月まで数回、面談や電話で状況を確認したとしている。
市教委の星野健学校指導課長は「規律やしつけなど厳しい指導をしなければならない場面はある。今回は担任は叱責した認識はなかったが、児童の受け止めは違った。結果的に配慮が必要だったという意味で、不適切だった」と話した。
2019年度の文部科学省の調査によると、小学生の不登校の要因のうち「教職員との関係」は2・4%だった。
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