電気が復旧し、明かりがともった避難所で夜を過ごす避難者たち=5日午後8時、石川県穴水町、町役場(撮影・亀山大樹)
避難場となっている穴水町役場の玄関前で暖を取る避難者たち=5日午後6時20分、石川県鳳珠郡穴水町

 能登半島地震の発生から5日で5日目となった石川県。死者は94人、安否不明者は200人に上り、状況が把握できない孤立集落はなお残る。通報を繰り返しても来ない救助に「これが現実」と諦めの声も。支援は徐々に本格化し始め、初めて物資が到着した避難所では安堵(あんど)が広がった。

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 1日に発生した能登半島地震で、被害が大きかった地域の一つである穴水町。根元が崩れるようにして倒れる木造家屋が多く、被害のない家屋を見つける方が難しい。5日現在で159人が避難する穴水町役場では、被災後初めて電気が通り、断水やトイレが使えない中で急場をしのいでいる。

 3階の避難所では乳幼児から高齢者までの避難者が身を寄せ合い、暖を取っていた。「初めて顔を合わせる人もいるけど、今はみんな家族」。町役場近くの自宅から避難してきたという女性(73)は気丈に語る。敷地が地震の影響で隆起し、中に入れない状態というが「大変なのはみんな同じ。声をかけ合い、助け合って生きている」と、表情を明るくして他の避難者に語りかけていた。

 町の災害対策本部を兼ねる町役場。5日の電気工事でようやく電気が使えるようになった。宮崎高裕副町長は「それまでは非常用電源で最低限の明かりしか使えず、エアコンも付けられなかった」と打ち明ける。

 支援物資が十分に届かず、避難者が1日1食しか食べられなかったが、5日から道路状況がある程度改善し、3食取れるほどの物資が届くようになった。ただ断水やトイレが使えない状況は続いているといい、厳しい生活であることに変わりはない。宮崎副町長は「今は生活環境を取り戻すことが大事だ」と語った。

 役場の玄関前には、普段は特産のカキを焼く大型コンロが置かれ、顔なじみの避難者数人で出来合いの春巻きやギョーザを焼いていた。地震で自宅が傾き、2日から避難所で過ごす元公務員の男性(67)は「停電で冷蔵庫の中は腐るだけ。年明けのために買ったものを持ち寄って正月をやり直している」と笑うと、「こうしてくだらないことを言っていないと、涙が出そうで」と静かに付け加えた。

 「薄暗かった避難所に明かりがともった時は拍手が起きた」。一人暮らしのアパートから逃れ、1日から町役場の避難所に身を寄せている女性(76)は少しほっとした様子で語った。「自宅のガスや水道はいつ復旧するか分からないけど、ここから立て直さなきゃ」と自分に言い聞かせるように前を向いた。

 街灯が少なく、星空がきれいに見られる町として知られる穴水町。この日は時々雨が降ったが、夜には雲の合間から星が見える瞬間もあった。明かりがともった町役場とともに、町民を照らしていた。