療養中に母親から送られてきた「がんばれ!」のメッセージを見返す女性=県内(画像の一部を加工しています)

 新型コロナウイルスに感染し、軽症者として昨年冬にホテルで1週間の療養生活をした岐阜県内在住の20代女性が、本紙に療養中の不自由な生活や、孤独を支えてくれた周囲の人への感謝の思いを語った。「どこで感染したか分からない。誰が感染してもおかしくないものだと思う」と話した。

 「普通の風邪ではないかも」。熱はなかったが、体のだるさと悪寒に襲われ、その日のうちに医療機関を受診、陽性と判明した。2日後に療養施設に入ることになった。

◆孤独な日々、募る不安とストレス

 熱もなく、「ちょっとした旅行」のような気分で療養先のホテルに向かった。思ったより広い部屋で窓もあり、外が見えることに安心したが、「窓ガラスは開けようとしても開かなかった」。毎日3回の食事が部屋の外に置かれ、1日2回、自分で体温を測り電話で伝える。人との接触は全くなく、隣室の物音も聞こえない。「旅行」の気分は2日目くらいで消え、外出できないストレスがたまっていった。

 療養期間の前半は鼻水が止まらなかったが、ほかに症状はなく「本当に自分は感染しているのか」と疑うほどだった。しかし数日後、突然味覚と嗅覚がなくなった。出された食事は味がなく、シャンプーやせっけんの匂いも感じなかった。新型コロナウイルス特有の症状が現れ「初めて不安になった」という。

◆「一人じゃないよ」優しさが支え

 不安は募ったが、インターネットで感染に関する情報を見ることは当初から避けていた。「疑わしい情報も多く、見ない方がいいと思った」。そのため、味覚障害のことは信頼できる友人に相談。友人が調べた情報を聞くことで「変な情報を見て不安を大きくせずにすんだ」と話す。

 部屋から出られない孤独な生活を支えたのも、家族や友人だった。「長い休みだと思ってゆっくり休んで」「一人じゃないよ」などと声をかけられ、「優しい言葉で気持ちが楽になった」と感謝する。

◆家族や友人は自宅待機に「迷惑かけた」

 感染して最もつらかったのは、支えてくれた家族や友人に「迷惑をかけたこと」だった。女性と濃厚接触者になった家族や友人は仕事を休み、自宅待機を余儀なくされた。女性の周囲には幸い感染者はいなかったが、家族に心ない言葉を口にした人もいた。「感染した人にしか、気持ちは分からないと思う」とため息をつく。当時のパート先は、感染を機に辞めた。職場の人は「辞めることはない」と言ってくれたが、「今までどおりにはやっていけない」と思った。

 1週間の療養生活を終え、外の空気を吸い込んだ瞬間を「開放感がすごかった」と振り返る。ワクチンの接種も予定するが、新たな変異株が確認されるなど不安は尽きない。「あの生活は二度としたくない。早く終息して」と願う。