米国で初めて最長80年の運転を認められたフロリダ州のターキーポイント原発。先進国の原発は運転開始から時間がたったものが目立つ(FPL提供・共同)

 日本や米国を含む有志国が昨年まとめた「原発の発電容量を2050年に3倍にする」との目標達成には今後、約千基の新設が必要になり「過去のデータや現状からして実現不可能だ」とする分析結果をエネルギー分野の国際専門家グループが5日までにまとめた。

 世界の原発建設は先進国を中心に停滞が続いており、責任者でエネルギーコンサルタントのマイクル・シュナイダー氏は「空虚な約束は、世界の原子力産業の先行きに関する誤解を拡大させるだけだ」と指摘している。

 昨年開かれた国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議を機に、米国主導で日本や英国、フランスなど25カ国が、50年に原発の発電容量を20年比3倍にするなどとした「原発容量3倍宣言」を打ち出した。

 グループによると、今年1月1日時点で稼働中の原発は世界で413基。発電容量は3億7090万キロワットで、東京電力福島第1原発事故前とほぼ変わらない。先進国では運転開始から時間がたった原子炉が多く、この先60〜80年の長期運転ができたとしても、容量は減少が予想される。