クレーンでつり上げ、植樹される淡墨桜2世の成木=岐阜市薮田南、県庁前公園
古田肇知事に植樹への思いを語る佐野藤右衛門さん=県庁

 淡墨桜の子どもが30年ぶりに里帰り―。岐阜県庁舎建設工事に合わせて整備が進められている県庁前公園内に2日、国指定天然記念物で日本三大桜の一つとして知られる淡墨桜(本巣市)の2世となる桜が植樹された。国内外の桜の育て親として知られる「桜守(さくらもり)」の第16代佐野藤右衛門さん(93)=京都府=が淡墨桜の種子から約30年かけて育てた成木で、佐野さんは「縁をつないでいただき本当に幸せ。咲くのが楽しみ」と願いを込めた。

 佐野藤右衛門は庭師の名跡(みょうせき)で、京都府にある植藤造園の当主が襲名している。佐野さんは現在、同社の会長で、仁和寺の造園を担いながら、全国の桜の保存や調査、育成に携わっている。淡墨桜の種子は、30年ほど前に県内を訪れた際に、許可を得て京都に持ち帰って育ててきた。

 県が県庁前公園の桜の植樹を検討する中で、再整備のアドバイザーを務める県森林文化アカデミーの涌井史郎学長が佐野さんを紹介。植樹が実現した。

 淡墨桜の2世は高さ10メートル、重さ10トンほどで、前日夜に京都から運び出され、2日午前に植樹が進められた。クレーンでつり上げ、植え付けや向きの調整などの作業を佐野さんが行いながら、3時間ほどかけて植樹した。佐野さんは「親と子でそっくりの部分がある。辛抱しながら育ててもらいたい」と目を細め、植樹を視察した古田肇知事は「立派に育ててもらい感謝申し上げる。岐阜県を長く見守り、愛される桜になってほしい」と語った。

 公園内には、岐阜市の願成寺境内にある国指定天然記念物「中将姫誓願桜」の接ぎ木から育てた成木も植樹されている。新県庁舎の完成式典・内覧会は今年12月中旬、開庁は来年1月を予定している。