前後左右に揺れる焼き網の上で、きれいな焼き色がつくあられ=揖斐郡揖斐川町谷汲名礼、だるま堂製菓谷汲工場
餅つき機で仕上げた生地を、あられの型に入れて成型する作業員
大豆やエビ、青のり、チーズ入りなど種類が豊富なあられ。谷汲あられの愛称で長年親しまれている

 「谷汲あられ」の愛称で知られ、長年幅広い支持を集めるだるま堂製菓(岐阜県本巣市下真桑)のあられ。生産拠点が谷汲山華厳寺に近いことから谷汲土産として人気で、コロナ禍前には年間約5万人が直売所で購入していたという。都市部の高級スーパーで取り扱われるなど販路も広い。あられを製造する谷汲工場を見学し、愛され続ける秘密に迫った。

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 あられの味の決め手は原材料にある。工場内のもち米を蒸す工程に足を踏み入れると、マスク越しに、もち米の豊かな香りが感じられた。奥田弘男社長(75)は「もち米はもちろん、達磨聖泉水と命名したこの地で採れる水があってこその谷汲あられ」と胸を張る。

 あられは蒸し上がったもち米の状態から、焼き上がるまでの工程で水分量が約35%も減るため、ミネラルやマンガンなどを含む蒸発残留物の数値が大切になる。そのため、工場進出に当たっては深さ約100メートルの井戸を堀り、水質を調べて、適度に数値があることを確認し、谷汲に決めたという。

 もち米は創業以来、風味豊かな国産にこだわっており、飛騨地域産「たかやまもち」、秋田県産「きぬのはだ」、北海道産「風の子もち」の3種を使用。生地の素材によって蒸練機とせいろを使い分けて低圧で蒸す。

 こだわりの地下水で蒸したもち米は、餅つき機で練り上げ、あられの形状に合わせた型に入れて、3日間冷蔵保存する。4日目になると生地をカットし、循環乾燥機で徐々に水分量を減らしていく。

 次に待つのが、あられを焼く工程。約10メートルのレーン状の焼成釜の中を、前後左右に揺れる焼き網の上に乗った粒状のあられが進んでいく。生地の水分を均一にするために弱火でスタートし、強火、弱火、強火と4段階で火入れをする。出来たての表面温度は180度にも達する。火の入れ方は種類で異なり、別の焼成釜では、板状のあられが網の上で整然と並んでレーンを進んでいた。奥田社長は「商品の特性に応じた丁寧な作業が肝」と語る。

 焼きの工程の後、味付けやトッピングなどの工程に枝分かれしていく。同社のあられは種類が多く、もち米本来の香りが楽しめるプレーンタイプから大豆やエビ、青のり、ごまが入ったものまである。さらにチーズやアーモンド、のり巻きなどトッピング類と、味付けも定番のたまりじょうゆ、サラダ味から、変わり種のチョコレートまで多種多様だ。

 1990年ごろから種類が増え始め、現在では素材やトッピングの組み合わせを工夫した新作を年間50種類以上発売しているという。奥田社長は「谷汲発の味を長く楽しんでもらえるように、これからも、おいしさを探求していく」と力を込める。

 【工場概要】1928年、岐阜市内で創業。2002年に谷汲工場を竣工(しゅんこう)し、04年に工場隣に直売所をオープン。生産機能は谷汲工場に集約しており、真正工場(本社)と安八工場は包装・箱詰めを担う。谷汲工場の延べ床面積は約1980平方メートル。一日の最大生産量はあられのみの場合、約3トン。従業員数は約200人。