若女将として修業に励む山岡彩水さん=岐阜市湊町、ホテルパーク

 岐阜市湊町の創業120年以上の老舗「ホテルパーク」で、27歳の若女将・山岡彩水(あやみ)さん(27)が修業に励んでいる。コロナ禍で観光業界が打撃を受けた2020年8月に若女将となり、母で女将の典子さん(54)に教わりながら、現場で接客や経営を学ぶ。長良川温泉界わいの旅館・ホテルで最年少の若女将は「歴史の重みを感じながら新しいことにチャレンジしたい」と話し、温泉や観光業界の盛り上げに奮闘している。

 彩水さんは地元の中学校を卒業して千葉県の高校、東京の大学に進学し、18年4月、ホテルパークに入社した。当初は別業種も考えていたが、実家に帰省するたび、街中に長良川や金華山などの自然がある岐阜の魅力を再認識し、「ホテルパークで観光や接客を学んでみたい」と、家業に飛び込むことを決めた。故郷で生活するのは8年ぶりだった。

 入社してから約4カ月間は他の従業員同様に研修を受けた。その後は接客や予約、経理、フロントの各部署を経験した。大学時代は日本文化を学び、カナダに1年間留学した経験もあるため、外国人の接客にも携わった。

 仕事に慣れてきた20年、新型コロナウイルスの感染が広がり始めた。観光業界に大きな影響が及ぶ中、若女将に抜てきされた。当時は客足が激減し、身動きも取りづらい中で不安もあったが、弁当のテークアウトやSNSによる情報発信など、今までホテルが未開拓だった分野に挑戦した。

 1894年創業、従業員約120人を抱える老舗ホテルで若くして女将を支える要職に就いたが、彩水さんは「先代、先々代も時代とともにホテルを変えてきた。『新しいことをしていきなさいよ』と歴史に言われている気がするんです」と自分を奮い立たせるように語る。

 女将の典子さんの背中を見ながら、従業員のサポートや、宿泊客に対する細やかな気遣いを学ぶ日々。典子さんは、彩水さんが後を継いだことについて「親としてホテルを背負わせることに複雑な思いもあったけど、うれしかった。最近は会話の端々に責任感が感じられ、頼もしくなってきた」と、若女将の成長に目を細める。

 彩水さんは「社員一人一人の声を聞きながら、お客さまの満足感に穴があかないようにしたい」と目を輝かせる。