人気シリーズ「リンカ」を手に発送の準備をする伊藤祐輝専務=土岐市下石町、カネコ小兵製陶所
人気シリーズ「リンカ」を手に発送の準備をする伊藤祐輝専務=土岐市下石町、カネコ小兵製陶所TOKI MINOYAKI返礼品のブランドロゴを紹介する画像

 美濃焼産地の中で、最も多くの窯元を抱える岐阜県土岐市。ふるさと納税返礼品贈呈事業に当初は距離を置いていたが、2020年10月に本格参入した。その際、目玉に掲げたのが「TOKI MINOYAKI返礼品」。市が推奨する特別な美濃焼というブランドを掲げて寄付者にアピールして、窯元や陶磁器商社につないでいる。

 「現代のライフスタイルに合う器」をコンセプトに市内事業者から募り、選定委員会を経て20事業者33シリーズを選んだ。デザイン性が高く、食洗機対応など高品質な商品がそろう。

 反響は大きく、市の20年度の受け入れ額は3586万円となり、前年度比増加率の約27倍は全国1位となった。その後も21年3月末に48社だった参加事業者は22年1月末に74社に、返礼品数は289点が1319点に伸び、21年度の受け入れ額は2億4千万円を見込む。

 参加事業者の手応えはどうか。「市税収への貢献や美濃焼ブランド向上のため協力したが、社にとってもメリットがあった」と話すのは、カネコ小兵製陶所(同市下石町)の伊藤祐輝専務だ。

 同社は漆器のような深みがある「ぎやまん陶」、磁器でありながら土ものの風合いと花の形が特徴の「リンカ」シリーズなどを「TOKI-」として出品。返礼品向けの売り上げは、電子商取引(EC)全体の4分の1に育ってきた。

 良い点として、まずはアクセスの多さを挙げる。自社サイトとは比較にならない多くの人に、直接声を届けられる。「しかも返礼品に食器を選ぶのは、余裕がある人。食器に求める質が高い層に、ものづくりへの姿勢や技術を知ってもらう好機になる」。メーカーにとっては利益率の高さという魅力もある。

 一方で、直販に慣れない窯元からは「家族でやっているので、発送の負担が大きい」「年末に注文が集中しすぎる」といった声も上がる。業界全体でみても、新規参入は商社が多いのが現状だ。市は静岡県焼津市と協力して、焼津の特産品と美濃焼と組み合わせる販売促進策をサイト上で展開。ほかにも市が委託した専門業者が、商品の写真撮影や説明作成に携わっており、そうしたノウハウを市内事業者が吸収することも期待している。