刑事裁判の再審制度見直しを検討する法制審議会部会に臨む委員ら=21日午前、法務省

 刑事裁判の再審制度見直しを検討する法制審議会部会の初会合が21日、法務省で開かれた。刑事訴訟法の関連規定は1948年の制定から一度も改正されておらず、近年は審理の長期化といった課題が顕在化するケースが続出。冤罪被害の早期救済を果たすための制度実現に向け、法改正も視野に専門家らが議論を進める。初会合では論点に関し意見交換する。

 部会の委員は法曹三者や刑事法学者ら14人で、日弁連「再審法改正推進室長」の鴨志田祐美弁護士や、元裁判官の村山浩昭弁護士らを選出。村山氏は2014年に静岡地裁の裁判長として、静岡県一家4人殺害事件で袴田巌さんの再審開始を認めた。

 制度を巡っては、確定死刑囚だった袴田さんの再審無罪が昨年10月に確定。1986年の福井中3殺害事件で懲役7年が確定し服役した前川彰司さんの再審公判も今年3月に始まり、7月に無罪が言い渡される公算が大きい。

 法務省は現行制度の修正に慎重な立場だったが、袴田さんの無罪などで法改正を求める声が高まり、法相が3月に見直しを諮問していた。