長崎県対馬市の観音寺から2012年に盗まれ韓国に持ち込まれた仏像の返還を巡り、対馬市は2日、所有権を主張していた韓国の浮石寺で今月10日に引き渡しを受け、離島にある同市へ12日に運んだ後、観音寺に移動させた上で法要が行われると発表した。

 仏像は県指定有形文化財の「観世音菩薩坐像」。浮石寺は倭寇に略奪されたものだとして所有権を主張し、16年に提訴したが、23年に韓国最高裁が浮石寺の上告を退け、観音寺の所有権が確定した。今年1月に書類上の返還手続きが完了して以降、物理的な返還方法が議論されてきた。

 引き渡しは10日午後、観音寺の田中節孝前住職らの立ち会いの下で実施される予定だ。