【ニューヨーク共同】来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、米ニューヨークの国連本部で開かれていた第3回準備委員会は9日、再検討会議のたたき台となる勧告案の採択を断念し、閉幕した。アジュマン議長(ガーナ)は各国の意見の相違が大きく、全会一致での採択は不可能と判断したと説明した。来年の再検討会議で最終文書に合意できるかどうかにも影を落としそうだ。

 核保有国に軍縮交渉義務を促す「再検討プロセスの強化」と題された成果文書の採択も見送られた。前回2022年の再検討会議は条約発効以来初めて2回連続決裂。核保有国も参加する核軍縮に向けた唯一の国際的枠組みの存在意義に疑問が生じている。

 閉幕後、アジュマン氏はウクライナ侵攻や中東情勢なども合意形成を阻んだと説明。「来年までの期間を利用して各国と国連が協力を強化し、再検討会議で最終文書の合意を目指すべきだ」と語った。

 採択断念に対して閉幕前、非保有国を中心に核保有国が軍縮交渉義務を果たしていないNPT体制へのいら立ちを訴える意見表明が相次いだ。