報道陣の質問に答えるポーランドのワレサ元大統領=27日午前、大阪市北区

 共産主義下のポーランドで民主化運動を率い、ノーベル平和賞を受賞したワレサ元大統領(81)が27日、大阪市内で共同通信などの取材に応じ、ロシアによるウクライナ侵攻のような事態を防ぎ民主主義を維持するために、長期政権を防ぎ、問題のある指導者を退任させるなど政治の透明性を担保する体制を整えることが必要だと述べた。

 同氏は長期化するウクライナでの戦争の行方は「神のみぞ知る」と嘆き「プーチン大統領の任期が2期で終わっていれば、今の問題は起こっていなかったかもしれない」と指摘した。

 ワレサ氏は、米トランプ大統領の再任や欧州で勢いを強める極右勢力など、ポピュリズム政治の高まりを念頭に「今の時代は何をすべきか、何をすべきではないかが混沌としている。民主主義を皆が信じていないようだ」とも述べた。

 ワレサ氏は労働者や学生の自主管理労組「連帯」の議長として、1989年に社会主義圏初の非共産政権発足に尽力したが「今、私の時代のように戦っても勝利を収めることはできない。新しい解決策を考えなければならない」と述べた。