ウクライナ領内で戦闘訓練に参加するロシア軍の車両。5月19日に映像を公表(ロシア国防省提供・AP=共同)

 【モスクワ共同】ロシアがウクライナ東部ドネツク州で、希少金属リチウムの鉱床がある地域を制圧した。鉱床は「欧州で最有望の一つ」と評される。ウクライナは米国と4月に天然資源を共同開発する協定に署名しており、ロシアが実効支配を固めればウクライナに大きな打撃となる。

 ロシア国防省は6月26日、鉱床付近にある同州シェフチェンコを制圧したと発表。ウクライナ政府は特段の反応をしていない。

 リチウムは電気自動車(EV)のバッテリーに使用され、近年の世界生産量は年々増加。ウクライナでは4カ所の鉱床が確認されているが採掘は始まっていない。

 ロシアが地域を完全に掌握し採掘を始めれば、ウクライナはすでに制圧されている南部の1カ所と合わせ2カ所の鉱床を失うことになり、残りは中部の2カ所となる。

 フランス紙フィガロによると、ロシアのウクライナ侵攻開始直前の2022年2月、ウクライナ国立アカデミーの研究者ワシレンコ氏らは、ウクライナのリチウム埋蔵量を50万トンと推計し「世界有数の生産国となる可能性がある」と指摘していた。