名門県岐阜商101年目の夏は大ピンチだった。1年から4番の坂口路歩が左前腕骨の一つ尺骨を骨折、同じく昨年から上位を打ち、昨夏は5割近い打率だった駒瀬陽尊が右手首痛、正捕手小鎗稜也が腰椎分離、3年エース格の右腕太田武秀もひじに違和感。それぞれ3週間から1カ月以上にわたって戦線を離脱。最後に坂口が全体練習に復帰したのが抽選直前の6月18日。名将鍛治舎巧監督から引き継いだ藤井潤作監督の下、勝てない苦難、主力に故障者続出の危機を乗り越え、ぎりぎりで間に合ったフル陣容で、新たな歴史の扉を開くための夏に挑む。(岐阜新聞デジタル独自記事です)
◆主役がこぞって復帰 新戦力加え、フル陣容で夏に挑む
新チーム発足時は投打ともかつてない大型チームとして、鍛治舎監督が自信を込めて後を託した。
ところが秋は地区準決勝で市岐阜商に敗退、県大会は秋は岐阜第一に、春は中京にいずれも準々決勝で1点差負け。結果も出ない中、鍛冶舎監督のスケールの大きなパワーとスピードの野球とは打って変わった藤井監督の〝考える野球〟に、選手たちは戸惑いを隠せなかった。そこにきて主力の相次ぐ戦線離脱。チームに暗雲が漂った。
最初の離脱者は捕手小鎗。敗れた春県準々決勝の中京戦も腰痛に耐えながらマスクをかぶっていたが、しっかり治療に専念するため練習を休止した。
ゴールデンウイーク前には絶好調だった駒瀬が1カ月の戦線離脱。
原因ははっきりしないというが、冬場から右ひじが痛かったという。「しばらく休んだ方がいい」との医師の診断に従い、ボールを握らず、筋力トレーニングに徹した。

ゴールデンウイーク明け5月10日の北陸(福井)との練習試合。小鎗が短いイニング、思い切りバッティングしない条件付きで復帰を始めた試合で、坂口が左手首に死球を受けた。...