30日、ポルトガル・シントラで記者会見するECBのラガルド総裁(共同)

 【シントラ共同】欧州中央銀行(ECB)は30日、金融政策の戦略を評価し、2%の物価上昇目標を維持する方針を確認した。トランプ米政権の高関税政策を受け、物価の先行きに不透明感が強まっている。物価が目標から大きく外れた場合には、強力で持続的な金融政策を講じ、物価安定へ迅速に対応する方針だ。

 ラガルド総裁は、ポルトガルのシントラで開いた記者会見で「地政学的な状況の変化やデジタル化の進展で、物価を巡る環境が不確実で変動しやすくなっている」と指摘した。物価安定へ役割を果たす姿勢を強調した。

 ECBは2021年に金融政策の戦略を見直し、物価上昇率の目標を「2%弱」から「2%」に改めた。当時は、新型コロナウイルスの流行を受けた物価低迷からの回復局面にあり、一時的に物価が目標から上振れしても金融緩和を当面続ける姿勢を示した。

 ECBは次回の戦略評価を30年に行う。