実際の卵巣を使うことなく、マウスの胚性幹細胞(ES細胞)を用いて卵子のもとになる「卵母細胞」を試験管で効率的に大量作製することに成功したと、京都大の斎藤通紀教授のチームが30日付の米学術誌に発表した。不妊症の原因解明や治療への応用が期待できるとしている。
卵子はできるまでに、初期の「始原生殖細胞」や卵母細胞などを経る。チームは、これまで必要と考えられていた卵巣への移植や体細胞を使わない卵母細胞の作製を目指しており、ごく初期の卵母細胞の作製は成功。さらに成長させたり作製効率を向上させたりするのが課題だった。
チームは卵母細胞の成長に必要なビタミンAやタンパク質などを投与する最適なタイミングを特定。以前は約1週間続けて投与していたビタミンAを最初の2日半のみにすると効率的になると判明した。卵母細胞ができるまでには4段階あるが、1回の実験で2段階目の「胎生期」を終えた細胞10万個以上を培養することもできた。
この段階よりも、さらに成長を促進させるタンパク質などを見つけ、卵子になる最終段階の細胞を作り出すこともできた。