中国ASEAN外相会議で、フィリピンのラザロ外相(左)と握手する中国の王毅外相=10日、マレーシア・クアラルンプール(AP=共同)

 【クアラルンプール共同】東南アジア諸国連合(ASEAN)はマレーシアのクアラルンプールで10日、中国、米国との外相会議をそれぞれ開催し、トランプ米政権の関税政策などを協議した。米中双方を重視するASEAN各国は、両国の要求と自国の利益との微妙な均衡を見いだそうと苦心。外交筋によると、中国との会議では米関税が「中国とASEANの協力を強める理由」として取り上げられた。

 中国の王毅外相は、関税を武器に各国に要求を突きつける米政権と中国の違いを強調。ルビオ米国務長官は「米国は信頼できるパートナーだ」と訴えた。

 米政府はASEAN各国に対し今月、20〜40%の関税率を提示。特に東南アジアを経由した中国製品の「迂回輸出」への対策を重視している。ベトナムに対しては、一般の輸出品には20%、迂回輸出品には40%の関税を課すことで合意した。

 ASEAN諸国のほとんどにとって、米国か中国が最大の輸出先。米国の要求だけを丸のみすれば中国の反発を招く恐れがあり、難しい対応を迫られている。