全国で主に病院内や事業所内の保育所約300カ所(定員計約9千人)を運営する大手「キッズコーポレーション」(宇都宮市)が、三重県の県立施設の受託園で昨年7月、園長が園児を虐待した疑いがあったのに、県に報告していなかったことが10日、内部資料や複数の元社員の証言で分かった。
関係者が今年4月、県に内部告発で通報。県は調査しているが、「詳しいことは答えられない」としている。同社は取材に対し「虐待や不適切保育には当たらないと判断し、報告しなかった。県からは、虐待と認定されていないと聞いている」と回答した。
園児への虐待が起きた可能性があるのは「三重県立子ども心身発達医療センター」(津市)の院内保育所。
内部資料や元社員らによると、昨年7月、この保育所の女性園長が園児と2人だけのとき、園児を持ち上げて逆さづりにしたとみられる。
同社は取材に「危険な遊びと捉えられるもので、必要な指導を行った」としている。だが社内のチャットでは「虐待」などのやりとりがされ、実際には園長が自主的に辞める形で退職させたという。