国の天然記念物で絶滅危惧種のツシマヤマネコから、発がん性などが指摘されている有機フッ素化合物(PFAS)が検出されたことが10日、愛媛大などの研究チームによる調査で分かった。有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)も確認、チームはいずれも高濃度としており、健康影響が懸念されるという。
ツシマヤマネコは長崎県の離島・対馬に生息。愛媛大先端研究院の野見山桂准教授は、PFAS汚染は各地に広まっており、他の野生動物にも影響を与えている恐れがあると指摘。「ツシマヤマネコのみならず、野生動物の保護のために全国的な調査と汚染源の特定が必要だ」と話した。
チームは、2022〜25年に交通事故などで死んだツシマヤマネコ21匹を、環境省の許可を受けて調査。代表物質のPFOAとPFOSを含む37種類のPFASの肝臓と腎臓の濃度を分析した。
その結果、全個体からPFASを検出。肝臓は中央値で1グラム当たり約110ナノグラム、最大で約360ナノグラムに達した。腎臓は中央値約60ナノグラム、最大約210ナノグラムだった。