ノーベル賞に関する設問と回答

 原爆投下80年に合わせた共同通信の被爆者アンケートで、昨年の被団協のノーベル平和賞受賞が核兵器廃絶にもたらす効果を聞いた結果、回答者の6割が「変わらない」としたことが12日、分かった。被団協への授与は核依存を深める国際社会の潮流に警鐘を鳴らす狙いがあったとされるが、こうした意図と逆行する核リスクの高まりを被爆者が厳しく捉えている状況が反映された。

 受賞で核廃絶が進むかとの設問には1327人が回答。(1)とても進む9・9%(2)やや進む28・3%(3)ほとんど変わらない52・8%(4)全く変わらない9・1%―だった。(3)(4)を選んだ人の回答理由には、深刻化する国際情勢や、核兵器禁止条約に背を向ける核保有国や日本の姿勢を批判する記述が目立った。

 (3)を選んだ被団協の田中聡司代表理事(81)=広島市=は取材に、長期化するロシアのウクライナ侵攻などを念頭に置いたと説明。

 (2)を選んだ熊本市の工藤武子さん(87)は「私のささやかな活動(紙芝居、体験談)にも依頼が増えた。関心が高まったと思う」と記述した。