7月30日、ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とする地震により、気象庁は太平洋側を中心に津波警報と津波注意報を出した。岐阜市在住の筆者(岐阜新聞デジタルライター)は29日朝から、東北を家族で旅行していた。同日夜、宮城県気仙沼市の民宿に泊まり、30日は朝から気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館を訪れる予定だった。旅先でどう対応したのか、何を迷ったのか。反省を込めて振り返りたい。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

津波注意報が出された十数分後、車窓から撮った気仙沼市の海=30日午前9時過ぎ、宮城県気仙沼市

 30日午前8時37分、気仙沼市の民宿からレンタカーを出そうとしていた時だった。地元の放送局に合わせていたカーラジオから聞き慣れないサイレンが響いた。「変わった音楽番組だな」と思った。ついで野外からも同じサイレン。なにかおかしい。カーラジオも含めてよく聞き取れなかったが、津波注意報と聞こえた。家族は波浪注意報と聞こえた、と言った。まったく揺れは感じなかったし、台風の影響で波は高かった。津波? まさか。正直信じられなかった。

 家族がスマホで検索した。津波注意報だった。約1時間後に数十センチの津波が来るという。...