鍛治舎巧前監督が築いた県岐阜商ナインの潜在能力を、藤井潤作監督が大舞台で見事に開花し、4強入り―。第107回全国高校野球選手権第13日は19日、甲子園で準々決勝4試合を行い、第3試合は延長十一回タイブレークの末、サヨナラの8―7で横浜(神奈川)を下して16年ぶりのベスト4に進出を決めた。選抜覇者との壮絶な激戦を制することができたのは、2人の指導者のリレーで培ったどんな窮地にも動じない県岐阜商ナインの底力にほかならない。だが、その勝利の礎となったのは、2年生左腕渡辺大雅と、鍛冶舎イズム浸透のノーステップ打法という、投打の二つの秘策だった。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

◆渡辺大が快投、もう一人のエースが爆誕
昨秋の明治神宮大会、今春の選抜に続く三冠を今夏の甲子園で狙った王者横浜。強さの源は投手力とともに打撃力。藤井監督も打倒横浜のジャイアントキリングの条件を「いかに横浜打線を抑えるか」と掲げていた。
普通に考えれば、エース柴田蒼亮の先発完投だが、横浜は2回戦の綾羽(滋賀)戦で左の軟投派から五回で1点しか取れていない。藤井監督は前回の3回戦・明豊(大分)で2番手で登板し、4回無失点の渡辺大というカードを切った...