夏の必需品となりつつある携帯扇風機(ハンディーファン)。多種多様な商品が店頭に並び、売り上げも増加傾向だが、専門家は「使い方次第で熱中症リスクを高める」と警鐘を鳴らす。破裂や発火といった事故も報告され、使用時だけでなく保管の際にも細心の注意が欠かせない。
熱中症対策に詳しい済生会横浜市東部病院の谷口英喜医師は、35度を超える空間では体に熱風を吹き付けることになるため、汗の蒸発を妨げたり、皮膚から体内に熱を吸収したりする恐れがあると指摘した。
風を顔に当て続けると眼球が乾燥して角膜を傷つける危険もあるという。谷口医師は「気温が35度より低い場所で、ミストなどで湿らせた首や胸元に風を当てることが効果的だ」と話した。
また、製品事故を分析する製品評価技術基盤機構(NITE)によると、リチウムイオン電池を使用したハンディーファンの破裂や発火、発煙などの事故は2020〜24年に少なくとも40件発生。何度も落としたり高温下に放置したりして電池が劣化すると電子回路がショートし、破裂や発火につながるという。