NPO法人「報道実務家フォーラム」とスマートニュースの子会社「スローニュース」は7日、「調査報道大賞」の授賞式を都内で開いた。岐阜新聞社が昨年2月から続ける連載「ホームレスは、どこへ行った-岐阜の現場から-」が、奨励賞を受賞した。
お得な買い物情報をチェック!「トクデリ」スタート!連載は、全国の路上生活者の人数をまとめた国の統計で岐阜県が3人(現在は1人)となっていることへの疑問をきっかけに、当事者らの証言を通じて実情を明らかにした。また、岐阜市役所の窓口で生活保護の申請を受け付けない「水際作戦」が常態化している疑いがあるとの告発を、情報公開請求で入手した県の監査資料から裏付け、運用の改善や職員のアウトリーチを促す契機につなげた。
授賞式には、連載を担当する山田俊介、坂井萌香両記者が出席した。日本大危機管理学部教授の西田亮介選考委員は「統計の上ではいない、あるいはとても少ないとなっているはずのホームレスはどこへ行ったのか、という素朴な疑問を粘り強く追い、データを交えて示した。調査報道のかがみとして評価した」と講評した。
西田選考委員から表彰状を受けた山田記者は「いろいろな人とつながりを築きながら、これからも地域社会にある見えづらさと向き合っていきたい」と語った。
応募・他薦のあった100作品から、全国の記者ら報道実務家による投票、選考委員会による審査を経て決まった。大賞は機械製造会社「大川原化工機」の冤罪(えんざい)事件を巡って公安警察の闇に迫ったNHKスペシャル「冤罪の深層~警視庁公安部・内部音声の衝撃」が2年連続で受賞したほか、兵庫県での公益通報や知事選、誹謗(ひぼう)中傷などを巡るTBSテレビ「報道特集」の調査報道が受賞した。