「住民生活の質の向上こそが地域に安定をもたらす」。中国・新疆ウイグル自治区外事弁公室の徐貴相党組織書記は、プレスツアー参加者との懇談会で力を込めた。厳しいテロ対策だけでなく、教育や雇用など「住民がよりよい生活を得るための支援を行ってきた」と説明した。

 人口の9割超がウイグル族の古都カシュガル。シルクロードの旅人たちを受け入れてきた「古城」と呼ばれる旧市街地は、自然地形を利用した城壁に囲われた高台にある。入り組んだ路地に沿って日干しレンガ造りの住居が密集。中央部にエイティガールモスクがそびえるイスラム風の都市となっている。

建物の壁が修復され、路地に商店が連なるカシュガル古城地区。午後10時を過ぎても 空はまだ明るく、観光客でにぎわっていた=7月、中国・新疆ウイグル自治区

 「十数年前まで建物の壁はボロボロ。下水道もなく、路地はごみであふれてとても不衛生だった」。古城を紹介する博物館の女性ガイドは、近年の目覚ましい生活環境改善について説明した。一帯は2008年ごろから約70億元(約1500億円)をかけて大改修。路地は拡張、がれき化した建物も修復・補強された。内部も現代の暮らしに合わせてリノベーション。女性ガイドは「古代からの街並みを維持しつつ、安全で豊かな生活を実現した」と強調した。...