福岡県は4日、県道整備の用地買収額が不適切に増額された問題を巡り、県の内部資料が外部に漏れて一部の報道につながった可能性があるとして、職員98人から事情を聴いていたことを明らかにした。情報管理態勢を点検するためで、告発者の特定が目的ではないとした。
公益通報者保護法は、告発者への不利益な取り扱いを禁じている。県は今回の事案は「公益通報には当たらない」とも主張した。
県によると、聴取は9〜10月で、県道整備を担った「県田川県土整備事務所」の所属職員が対象。「資料の保管場所を知っているか」「コピーを持っていたか」「流出について知っている情報はあるか」などを尋ねた。
用地買収は、同県赤村にある2505平方m。県は昨年10月は約430万円と算出したが、地権者の反発を受け約5倍に増額。報道を受け不適切と認めた。
淑徳大の日野勝吾教授(労働法)は「県の聴取は最終的に通報者特定に行き着く。次の通報を萎縮させるきっかけになりかねない」と言及。「悪意による情報漏えいと区別し、県民の利益を守る通報は保護すべきだ」と強調した。







