岐阜県立高校・特別支援学校高等部の生徒が学校で使用するタブレット端末を巡り、県教育委員会が来年度から貸与せず個人負担を求める方針を打ち出したことで、保護者や生徒に波紋が広がっている。県教委はタブレット端末を「教育に欠かせないツール」と位置付け、購入が必須との立場を示す一方、保護者は家計の負担に不安を拭い切れない。県教委は生徒や保護者に「1人1台端末」の意義をどう説明するのか-。県のICT(情報通信技術)教育の姿勢が問われている。

タブレット端末を使って学びを深める生徒=7月、県内の高校

 「国の支援が得られない中、県の財政状況も鑑み、(タブレット端末の)個人負担の是非を再検討することは考えていない」。10月3日、県議会一般質問で堀貴雄県教育長の決意に満ちた声が、静かに議場に響き渡った。

更新費用68億円…個人負担やむなし

 県は新型コロナウイルス禍の2020年度、臨時休校が広がる中でも学びの機会を保障しようと、国の臨時交付金を活用して約32億円かけて約3万8千台を導入した。以降6年間、1人に1台の貸与を続けてきたが、更新時期に伴い貸与を継続する場合は更新費用が約68億円かかる試算だ。県教委の調べでは全国でも公費で更新するのは7府県にとどまり、...