佐賀県警察本部

 佐賀県警科学捜査研究所(科捜研)元職員のDNA型鑑定不正を巡り、県弁護士会の刑事弁護委員会が「客観証拠の前提が崩れた」として、裁判で検察側が県警のDNA型鑑定結果を証拠提出した場合、積極的に不同意とするよう会員の弁護士に要請していたことが10日、分かった。複数の弁護士会関係者が明らかにした。

 不同意とした場合、証拠に関する書類を作成した職員の証人尋問を求める。あくまで各弁護士の判断が尊重され、不同意を強制するものではないとしている。公判が長期化し被告に不利益が生じる懸念もあり、被告との相談を徹底する。

 刑事弁護委員長の杉山林太郎弁護士によると、9月29日に弁護士会の会員全体にメールで要請。以降、公判で不同意とした事例が複数報告されているという。

 弁護士会は、不正に関する県警の情報公開が不十分だとして、第三者機関による検証を要求。警察庁は不正の経緯を改めて調べ、再発防止策をまとめるための特別監察を進めている。

 県警によると、科捜研元職員は虚偽報告や、鑑定結果に関する書類の日付改ざんなどをしていた。