「ぎふ高校研究」、今回は番外編。岐阜県最北、飛騨市の都竹淳也市長(58)に直撃しました。今、飛騨市の教育の取り組みが全国から注目を集めています。「学校作業療法」という試みですが、不登校気味だったり、発達に支援が必要だったりする子どものケアを通してサッカーの技術が成長したり、さらには夫婦げんかが激減したケースがあるといいます。どんな支援なのでしょう。「誰一人取り残さない」教育は可能なのでしょうか。中学生に向けた高校選びのアドバイスもいただきました。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

 
 つづく・じゅんや 飛騨市出身。筑波大社会学類を卒業後、89年に岐阜県庁入庁。知事秘書、総合政策課課長補佐、商工政策課課長補佐、障がい児者医療推進室長などを務めた。16年2月の市長選で初当選し、現在3期目。25年3月、中央教育審議会委員。ほかに全国市長会副会長、全国市長会社会文教委員長。

◆国の教育方針を文科相に答申

 ―今春、中央教育審議会(中教審、※1)の委員に就任した。

 都竹 最初打診を受けたとき、人口2万人ちょっとの小さな飛騨市よりも、適任者は他にいると答えたが、学校作業療法や飛騨市学園構想など独自の取り組みを中教審の知見の中に入れてほしい、とのことで受諾した。

 中教審の大きなテーマが学習指導要領(※2)の改定。基本的には現行の要領を踏襲する方向性だが、市長の立場から言うと、過疎地の自治体として切実に感じるのは未知の課題を解決していける力が本当に重要だ。自分の考えを持ち、多様な人と対話しながら課題解決策を自分で考えて、それを実行し、うまくいかなかったら改善する力が求められていると痛感している。もう一つは教師の働き方改革だ。

※1 中教審・・・文部科学大臣の諮問機関。国の教育行政の方向性を議論する。

※2 学習指導要領・・・全国どこの学校でも一定水準の教育を受けられるようにするため、小中高校の児童生徒に教えなければならない最低限の学習内容などを示した教育課程の基準。これを基に教科書や時間割がつくられる。約10年ごとに改定される。

 ―教師の働き方?

 教師の仕事の負担をどう軽くしていくかが非常に大きなテーマになっている。今まで全部教師に任せすぎたのではないか。...