牛乳石鹸共進社株式会社(所在地:大阪市城東区/代表取締役社長:宮崎 悌二、以下牛乳石鹸)は、牛乳石鹸総合研究所と、慶應義塾大学 理工学部システムデザイン工学科 満倉 靖恵教授による共同研究の結果、親子入浴時の泡立て方の工夫や、泡を介したコミュニケーションにより、オキシトシン(※1)が増加することが明らかとなったことをご報告いたします。

(※1)オキシトシンとは:「喜び」や「愛情」などの感情形成に関わっているホルモンの一種。

オキシトシンを形成する感性(心の動き)として「ストレスを低下させること」、「集中力を上げること」、「興味を持つこと」、「好きになること」、「心が穏やかであること」の5つが重要と言われています。

 

 

牛乳石鹸と慶應義塾大学の研究で、幼児とその親子20組を対象に、通常の入浴と泡立て動作を取り入れた入浴を比較しました。その結果、泡立て動作を取り入れた入浴の方が通常の入浴と比較して有意にオキシトシンが増加し、効果量も大きいことが確認されました。幸せホルモンとして知られているオキシトシンは、子どもの感情形成や心の成長を促す可能性があるとされています。泡を使った触れ合いが親子の絆を深める手段として有効であることが、本共同研究の結果から示されました。

 

 

■研究背景

牛乳石鹸では、日常の親子入浴をより良いものにするため、入浴時における“親子の触れ合い”や “ コミュニケーションを深められる工夫”を検討しています。

2022年7月29日放送のNHK『チコちゃんに叱られる!』[1]では、「わが子と生涯で一緒に過ごす時間」について、母親が約7年6ヶ月、父親が約3年4ヶ月と紹介されました。この数字は多くの人にとって想像以上に短く、特に父親の場合は母親の約半分であることから、働き方や家庭での役割分担の現状を反映していると考えられます。

内閣府の調査[2]によると、共働き世帯の数は増加しており、9割近くの人が「子どもと接する時間が十分に取れていない」と感じているという結果が示されています[3]。また、親子のコミュニケーションの機会として、「夕食を食べながら」に次いで「一緒にお風呂に入りながら」が上位に挙げられている調査結果[4]もあり、親子入浴がコミュニケーションの場として重視されていることがわかります。

引用:

[1]https://www.nhk.jp/p/chicochan/ts/R12Z9955V3/ 

[2]https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/backdata/02-01-01-03.html

[3]https://www.businessinsider.jp/article/198049/

[4]東京ガス都市生活研究所「親子入浴のすすめ」

 

 

■研究方法と結果

ボディソープの泡立て動作に注目し、より豊かな泡が立つような動作を取り入れた条件でオキシトシンの発現量を評価しました。

 

2024年12月、宮崎県都城市の「まるのキンダーガーテン」に通う4~5歳児とその親20組にご協力いただき、入浴前後に子供の唾液を採取し、オキシトシンの量を計測しました。被験者には事前に実験内容を説明し、自由意思による同意を得た上で参加いただいています。実験では、通常の入浴と泡立て動作を取り入れた入浴の両方で、一般的な液体タイプの身体洗浄料を使用しました。泡立ては、風呂桶に濡らしたバスリリーを入れ、身体洗浄料を2プッシュ加え、空気を含ませながら揉み込むようにして行いました。泡立てが完了した後は、親子で自由に泡に触れ合ってもらいました。

 

図1に、通常の入浴と泡立て動作を取り入れた入浴のオキシトシン増加量を比較したグラフを示します。Mann-WhitneyのU検定(非正規分布データに適した検定)で2群の増加量を比較したところ、有意差(p=0.05)が認められました。さらに、効果量をCliffのdelta(群間差の大きさを示す指標)で評価すると、0.8と非常に大きく、泡を使った触れ合いが親子の絆を深める手段として有効であることが示唆されます。

図1 通常の入浴と泡立て動作を取り入れた入浴のオキシトシン増加量 

オキシトシン量が120 pg/mL以下のデータと外れ値は除外

 

 

■満倉教授(慶應義塾大学 理工学部システムデザイン工学科/共同研究者)のコメント

本研究を通じて、親子の触れ合いの中にある“泡”という日常的な要素が、科学的にも親子の絆を深める可能性を持っていることが示されました。特別な道具や準備がいらず、今すぐ実践できるコミュニケーション手段として、多くのご家庭で活用していただければと思います。

 

 

<まるのキンダーガーテンの紹介>

宮崎県都城市にある社会福祉法人スマイリング・パークが運営する幼保連携型の認定こども園。子どもたち一人一人の可能性を見いだし長所を伸ばしてあげられる環境を創り、地域のみんなで子どもたちを育てることをテーマとしています。コミュニティーカフェや病児保育・病後児保育、外国語を学ぶ時間など、働くお母さんや未来を創造する子どもたちのために様々な新しい取り組みにチャレンジしています。

 

 

 

■牛乳石鹸共進社株式会社

1909年(明治42年)の創業以来、「美と清潔 そして健康づくりに役立つ」製品を提供してきました。企業理念の「ずっと変わらぬ やさしさを。」のもと、お客様の肌に、こころに、そして環境にもやさしい「ものづくり」に取り組んでいます。弊社は今年で創業116年の会社になりますが、昔から受け継ぐ品質第一主義は守りつつ、時代の流れを取り入れることで、これからもお客様の求めに即応していきます。近年ではボディケア、フェイスケア、ヘアケアと幅広い製品開発によって時代のニーズを柔軟に取り入れ、赤箱・青箱をはじめとした「カウブランド」に加えて新ブランドを生み出しています。