神戸市立神戸アイセンター病院などのチームは5日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った目の網膜の細胞を世界で初めて患者に移植した2014年の手術を巡り、10年経過後も移植した細胞にがんなどの異常はみられないと明らかにした。
同病院の栗本康夫院長が、東京都内で開催中の日本網膜硝子体学会で発表した。終了後の取材に「長期の安全性と有効性を示せたことは大きい。iPS細胞治療全般を後押しする結果だ」と話した。
手術は理化学研究所と同病院(当時は先端医療センター病院)が臨床研究として14年9月に実施。網膜に障害が起き失明につながる「滲出型加齢黄斑変性」を患う当時70代の女性の皮膚からiPS細胞を作り、網膜の色素上皮細胞に変化させてシート状にしたものを右目に移植した。
チームによると、10年後も細胞は目の組織に生着し、拒絶反応や異常な増殖はみられなかった。手術前は下がり続けていた矯正視力は、7年目まで手術時と同じ0・09を保ち、10年目も0・07とおおむね維持した。








